オオセト×山田錦およびオオセト×松山三井の組み合わせにおける雑種初期世代からの葉色に対する選抜が後代のタンパク質含有率や他の酒米特性に及ぼす影響について検討した.F2集団の出穂期における葉色値(SPAD-502型による読み取り値)は正規分布に似た連続変異を示し,その分散から推定した広義の遺伝率は,オオセト×山田錦0.517,オオセト×松山三井0.397であった.F2からF5まで,出穂期の葉色が濃い方(H群)と淡い方(L群)へ選抜を続けた結果,F6系統のタンパク質含有率はH群の方がL群よりも有意に高くなった.平均値で比較した稈長+穂長はH群の方がL群より長く,1000粒重はH群の方が軽かった.また,H群の方が出穂期迄日数は短く,心白粒発現率は高かった.F6系統における葉色値とタンパク質含有率との間には有意な正の相関関係が認められた.ただし,H群内には葉色値とタンパク質含有率との関係が異なる二つのグループが存在した.葉色値のF5-F6親子相関は有意であった.これらより,酒米の品種育成においても雑種初期世代における出穂期の葉色はタンパク質含有率に対する選抜指標として有効と判断した.