日本作物学会紀事
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畑栽培イネの栄養生長期水ストレスに対する生育と乾物生産の品種間差 : 日本型およびインド型水,陸稲と目印交雑水稲品種の比較(作物生理・細胞工学)
和田 義春鈴木 まや尹 祥翼三浦 邦夫渡辺 和之
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2001 年 70 巻 4 号 p. 580-587

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抄録

陸稲は,水ストレスに弱い作物であり,耐乾性の強化が陸稲収量の増加と安定性に不可欠である.本研究では,耐乾性に関わる形態的,生理的性質を検討するために,陸稲品種であるトヨハタモチとIRAT109および水稲の多収品種ぞあるIR36,水原287,水原290,さらに対照としてコシヒカリの6品種を供試し,同一のポットに栽培して同一の土壌水分条件下で地上部の諸形質の違いと旱ばつ抵抗性との関係を光合成速度と乾物生産から比較した.水ストレス下での葉面積と乾物重増加の抑制程度,葉身枯死の比較からは,トヨハタモチ,コシヒカリ,IRAT109に比し,IR36,水原287,水原290の旱ばつ抵抗性が大と判断された.また,水原287と水原290は水ストレス下での光合成速度の低下が小さかった.IR36,水原287,水原290は短稈で分げつの多い品種であった.また水ストレス下ではいずれの品種も葉身への乾物分配が減少し根への乾物分配が増加したが,IR36と水原287は水ストレス下で葉鞘へ乾物を多く蓄積する性質があった.再灌水後7日間の純生産速度で比較した生長の回復は,供試した品種中水原287が最も大きかった.この品種は,再灌水後も根への乾物分配が高く保たれる傾向にあった.

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