日本作物学会紀事
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食用カンナにおける不定根の形態形成と物理的特性
細井 淳今井 勝
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2002 年 71 巻 4 号 p. 500-505

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抄録
要旨 : 食用カンナ(Canna edulis Ker-Gawl.)において,根茎の節付近から2本1組となって同時に発生する不定根の形態的および解剖学的特徴と物理的特性を,生育各期に株元からの距離および伸長方向別に調査した.地中深く伸びる垂直根と,地表下を浅く伸びる水平根は明確に区別された.1組の不定根のうち,根茎の長軸に対して基部側から発生したものは垂直根となり,先端側のものは水平根となった.垂直根は水平根に比べて組織構造が充実して物理的特性も優れており,特に根茎際のものが最も充実していた.根の引っ張り強度に対して中心柱断面積と維管束数が大きく貢献し,根の曲げ剛性に対しては皮層断面積が貢献していた.本作物における根の引っ張り強度に関する破断荷重および曲げ剛性に関する断面2次モーメントの値は,他の草本植物の根と比べてかなり大きく,これらの特性が大型の地上部支持能力の高さと密接に関係するものと考えられた.
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