日本色彩学会誌
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色に対する潜在的態度(3)-紙筆版IAT を用いた潜在的色嗜好の集団計測の可能性検討-
中村 信次野寺 綾
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2017 年 41 巻 2 号 p. 45-54

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抄録

 紙筆版IAT(paper-fomated Implicit Association Test)を用いて色に対する潜在的嗜好計測の集団的実験を実施した.有彩反対色対(赤-緑,青-黄)および無彩反対色対(白-黒)に対する潜在的色嗜好を,5 週間の間隔を空けて反復計測し,視覚的連続スケール(Visual Analogue Scale: VAS)により同時に計測された顕在的色嗜好と比較した.大学生234 名を分析対象とする実験の結果,1)VAS よりは低いものの,紙筆版IAT においても一定程度の反復安定性が確認されること,2) 有彩色を評価対象とした場合は有意な潜在-顕在指標間相関が得られるものの,無彩色を評価対象とした場合にはそれが得られないこと,3) 無彩色における潜在-顕在指標間の乖離に,実験参加者の色認知態度(色に対するステレオタイプ的思考の程度)が関与している可能性があること,などを見出した.これらの結果は,PC を用いた個別実験により実施されたIAT 計測の結果ともよく一致しており,紙筆版IAT が潜在的色嗜好を集団実験により計測する手法として有益なものであることが確認された.

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© 2017 一般社団法人 日本色彩学会
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