日本色彩学会誌
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特集号: 日本色彩学会誌
42 巻, 3+ 号
日本色彩学会第49 回全国大会[大阪]’18 発表論文集
選択された号の論文の72件中1~50を表示しています
Supplement
  • 北岡 明佳
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 1-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     並置混色は,色を表現するにあたり,比較的少数の色を空間的に並べて表現する.絵画の点描は,並置混色にあたる.並置混色にも,加法混色と減法混色がある.RGBを原色とする加法混色では,白はRGBで表現され,新しく開発されたRGBを疑似原色とする減法混色では,黒はRGBで表現される.このため,同じRGBの縞模様なのだが,片や白,片や黒に見えるという錯視画像をつくることができる.本講演では,この明るさの錯視をデモするとともに,2種類の並置混色は互いに独立した視覚的文法とでもいうべきものであること,それらは強力な色の錯視であるムンカー錯視とも密接に関係していることを,いろいろな錯視画像を示しながら論じる.

  • 辻本 晃大, 土居 元紀
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 8-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     監視カメラによるセキュリティなど,人物追跡は様々な分野で重要な課題である.複数の人物が映り込んだ場面を想定すると,衣服の色情報が対象となる人物を識別する有力な手掛かりとなる.しかし,照明変動がある場合や照明環境の異なる複数のカメラ間での人物追跡においては,追跡に失敗することが多い.筆者らのグループはこれまで照明光の変化に対応するため,シーン全体の色の平均値を用いて照明変動を補正し,変動に強い状態推定手法であるパーティクルフィルタを用いて人物を追跡する方法を提案してきた.また,平均値,中央値,Gray-Edgeなどの統計値を用いた場合の照明変動補正について静止画像における実験に基づき検討してきた.その結果,シーンの性質によって最も有効な統計値は異なり,シーンにより適する統計値が異なる場合があるのではないかと考えた.シーン全体の色の各統計的特徴を統合して用いた方法を提案する.提案手法による照明変動補正をした人物追跡実験を行った結果,従来手法より追跡精度の向上が確認できた.また,シーンの背景の色分布が異なる場合についても追跡実験を行い,同様に有効性を確認した.

  • 園田 倖太, 溝上 陽子
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 12-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     人工照明下と自然光下で物の色の見えが異なって見えてしまうという照明の演色性を評価する研究は多く行われているが,実際に自然光を使ったものはほとんどない.また,評価実験には色票を用いることが多く,実物体を用いた研究は少ない.本研究では,分光分布の異なる人工照明と実際の自然昼光が実物体の色の見えにどのような影響を与えるかを調べる.実験では,参照光源とテスト光源の観察ブースを並べて設置し,それぞれ参照用の色票と実験刺激を置いた.参照光源にはD65近似蛍光灯を使用し,テスト光源には,D65近似蛍光灯,昼光色LED,自然昼光を使用した. 実験刺激は, 緑色のきゅうりと黄色のバナナの食品サンプル,赤色と青色の造花, 赤色と青色の積み木,各実験刺激に近い色の色票5種を用いた.被験者は標準色票の中から刺激と同じ色に見える色票(対応色)を選択し応答した.その結果,照度が同等の場合は自然昼光と人工光源下での色の見えに大きな違いは見られなかった.また,自然昼光の照度,相関色温度を変化させたとき,自然昼光の照度が高くなると,対応色はより鮮やかさが増し,相関色温度が高くなると,対応色の赤と緑の鮮やかさが減る傾向が得られた.

  • 菱川 優介, 桂 重仁, 須長 正治
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 15-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

    本研究では,須長らが報告したS錐体刺激値の差を手がかりとした視覚探索課題にて,探索時間への色カテゴリの影響を検討した.刺激として13個の円盤がモニタに呈示された.テスト刺激は,S錐体刺激値のみが異なる2色が6個ずつに,その2色のS錐体刺激値の中間の色が残りの1個に割り当てられ,計3色であった.2色で構成されたダミー刺激と1色のみで構成されたコントロール刺激も用意した.刺激の呈示時間は27~3200 msの8条件のうち,いずれかがランダムに選ばれた.被験者の課題は,知覚した色数およびその色名を答えることであった.刺激の呈示時間が長くなると,被験者が回答した色数は3色へと増加した.また,2型2色覚は3色覚と比べてより短い呈示時間で3色を知覚していた.また,色名応答の結果から,3色が同一の色カテゴリに分類されると3色覚は3色を知覚するのが難しくなり,2型2色覚はS錐体刺激値差によるカテゴリ分けをしている可能性が示された.この傾向は,須長らが報告した呈示時間に対する目標刺激検出の正答率と同様であった.このことから,S錐体刺激値の差を手がかりとした視覚探索課題は色カテゴリの分け方に影響されることが示唆される.

  • 天羽 康介, 若林 一道, 酒井 英樹, 木林 博之, 中村 隆志, 矢谷 博文
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 19-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     近年,歯科治療において患者の口腔内の審美性に対する要求が高まっているが,天然歯に近似した色調,光透過性の再現は,歯科医師や歯科技工士の経験によるところが大きい.そのため,コンピュータシミュレーションを用い,光の振る舞いを定量的に解析することが可能となれば,より審美性の高い歯科治療を行うための多くの知見を得ることができる.これまで我々は,光線追跡シミュレーションに必要な各種歯科材料の光学特性の測定を行った.

     本研究では,実際に歯冠補綴装置(二ケイ酸リチウムガラスセラミックス)と支台築造体(コア用レジン,金属)を製作し,人工太陽灯を照射した際の輝度の測定を行った.そして,照明設計解析ソフトウェア上で実験1と同様の状況を再現し,輝度のシミュレーションを行い,実測と比較した.

     その結果,同一試料内で部位による明度差(ΔL*)が認められ,切縁-中央でΔL*は大きい傾向を示した.シミュレーションの結果,中央,歯頸部では実測よりも低い値となったが,近似した傾向を示した.本研究で行った光線追跡シミュレーションは,歯冠補綴治療における光の現象を解析するために有用であるものと考えられた.

  • 中村 巧, 平井 経太, 堀内 隆彦
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 22-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     CG分野において,質感をリアルに再現する研究が盛んに行われている.それらの研究の多くは,視覚的な質感再現を行うものである.しかし,人間は視覚情報だけでなく,聴覚情報や触覚情報などの複数の感覚情報を組み合わせて,クロスモーダルに質感を認知している.そのため,CGでリアルな質感を再現するためには,視覚的な再現だけでなく,他の感覚も考慮したクロスモーダルなCG質感再現が重要と考えられる.本研究では,視覚と聴覚に着目し,光沢感・金属感に関して,CGと効果音のクロスモーダルな相互作用のモデル化を目的とする.まず,CGと効果音に関するクロスモーダル光沢感および金属感の評価実験を行った.その結果,両質感において,シングルモーダル(視覚のみ,聴覚のみ)に比べて,クロスモーダル(視覚と聴覚の組み合わせ)の刺激を用いた場合に,相乗効果のあることがわかった.この結果から,クロスモーダル質感知覚において,CGと効果音の相互作用の存在が示唆された.評価結果に基づいて,物理的な特徴量と評価結果を重回帰分析することにより,クロスモーダルな質感モデルを構築した.

  • 白澤 裕喜, 平井 経太, 堀内 隆彦
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 24-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     プロジェクションマッピング(Projection Mapping,PM)は,物体表面に塗装や加工を施すことなく見えを操作することができるため,エンターテイメントのみならず,商品開発シミュレーション等の幅広い専門分野で使用されている.近年では,人間の顔にPMを行い,表情を操作する方法なども提案されている.しかしながら,従来のPMではRGBプロジェクタを用いており,人間の肌の分光的な見え操作を行うことは不可能であり,リアルな再現は困難であった.本研究では,著者らが開発した分光プロジェクタを用いて,肌の見かけを分光的に操作するPM技術の構築を目的とする.提案手法では,まず,ファンデーション塗布前後の肌の分光反射率を計測し,その変化を事前知識として与える.そして,化粧前後の分光的変化に基づき,投影対象の素肌が化粧肌になるように,分光PMを用いた見かけの操作を行う.実験では,実際の化粧肌と分光PMを行った肌の分光計測を行い,それらの分光分布やL*a*b*値を比較した.実験結果より,分光PMによる肌の見えは化粧肌に数値的に近い結果が得られ,提案手法の有用性が示された.

  • 益満 大志, 溝上 陽子
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 26-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     本研究では,画像の鮮やかさの知覚が,彩度変調画像および彩度・明度コントラスト変調画像への順応によって影響を受けるか検証した.自然画像において彩度の上昇(低下)と同時に輝度コントラストを上昇(低下)させると,彩度のみを上昇(低下)させた場合より自然に見える範囲が広がるとされ,この知覚される自然さの違いが彩度の順応効果に影響を与える可能性がある.実験では,同じ変調係数にて変調した彩度・明度コントラストを有する複数の画像に順応後,彩度のみを変調したテスト画像を呈示し,その彩度知覚を測定した.結果,彩度のみを変調した画像と,彩度・明度コントラストを同時に変調した画像に順応した条件では,順応効果に有意な違いは現れなかった.しかし,彩度の上昇(低下)と同時に明度コントラストを低下(上昇)させ,明らかに不自然と感じられる画像に順応した条件では,順応効果がそれらと比べて極めて小さくなった.この変調方向においては,被験者の自然に見える範囲も他の変調方向と比べて狭いという結果となった.したがって,この知覚される画像の自然さの違いにより,彩度順応効果に違いが表れると考えられる.

  • 丸山 大尭, 篠田 博之
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 28-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     近年,コンピュータグラフィックスの分野において,現実物体のモデリングを用いた技術が活発に行われている.この際,色の測定には問題がある.カメラで撮影した画像から情報を抽出するのが一般的であるが,測定された値にはカメラの分光感度特性や照明などの環境に依存した情報が含まれる.そのため,測定された値は局所的なものであり,一般性に欠けるため,物体固有の色情報である分光反射率を測定する必要がある.本研究では,プロジェクタとデジタルカメラを用いて,物体固有の色情報である分光反射率の推定を行う.事前にカメラの分光感度を得る必要があるため,既知の分光反射率をもった色票に対し,プロジェクタを照明として用いることで多様な分光放射照度で照明し,その撮影画像の信号値よりカメラセンサーの分光感度測定を行った.また,デジタルカメラを測色に用いるためには広範囲な光強度に対応し,輝度や照度に対して線形となる信号値を得る必要があるため,複数の異なる露光時間で撮影した画像からHigh Dynamic Range Imageを作成した.その後に,得られたカメラの分光感度を用いて,カメラの分光感度測定で用いた色票の分光反射率推定を行い実測値との比較を行った.

  • 磯見 麻衣, 酒井 英樹, 伊與田 浩志
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 30-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     食品・食材の示す色彩や光沢(つや)は,鮮度評価や調理具合の手がかりとなるほか,見た目そのものが,おいしさ評価に繋がることから,適切に調整・演出することが求められる.そこで,本研究では,光沢に注目し,食品の光沢を人がどのように感じるかを明らかにすることを目的として,光沢の程度の異なる焼き鳥(つくね),クッキー,ライス(チャーハン)の樹脂製食品サンプルの光沢度測定と主観評価を行った.光沢度分布は,光トラップ付きドーム型照明を用いた非接触式測色システムを使い,デジタルカメラで撮影した正反射成分を含むSCI画像と,正反射成分を含まないSCE画像の差分から,二次元光沢度分布を算出した.主観評価では,昼白色と電球色の点光源下で感じるつやの程度と感情を,32名の被験者に回答させた.その結果,食品のつや評価は,光源の色温度に影響を受けない,食品に対してはガラスやプラスチックなどの工業材料としては中程度の光沢度を強いつやと感じる,平均光沢度の高い(つやのある)ものほど温かく新鮮でおいしそうであると感じること,が分かった.

  • 棚田 優祐, 福地 航平, 伊與田 浩志, 酒井 英樹
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 34-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     食品や農産物の高品質化や新たな用途開発を目的に,高温の水蒸気(過熱水蒸気)を利用した加熱方法に関する研究が行われている.また,すでに調理用スチームオーブンなど食品加工機械として市販もされている.しかし,このようなオーブン庫内の水蒸気量が加熱中の食品に与える影響は明らかにされていない.本研究では,加熱条件を任意に設定でき,加熱中の食品試料の色(分光反射率)を小型分光器と光ファイバーで測定できる装置の開発を行った.試料を加熱するためのテストセクション部は円筒状の縦長で,試料は底部から挿入する.上部からはハロゲン光源により光が照射できる.白色標準には高温中で使用できるウォラストナイト多孔質板を用いた.まず,カラーチェッカー色票24色を用いて常温で本装置による色測定の妥当性を検討した結果,規格値との色差は5未満であった.次に200°C,風速1m/sで加熱中の食品(サツマイモスライス)の分光反射率から色の変化を観察した結果,過熱水蒸気を用いる方がL*値(D65/2度視野)が早い時間で低下をはじめること,a*値(D65/2度視野)は過熱水蒸気を用いる方が赤みを増す傾向があることを示した.

  • 牧野 暁世
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 37-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー
  • Supannika Yongsue, Chanprapha Phuangsuwan
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 41-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     In Thailand is coming to completed-aged. This paper aimed to investigate the color preference of rice for Thai elderly people. First, we stained color to rice by Anchan (Blue), Curmin (yellow), Bi-tery (green) Ka-jeab (red) and normal white rice. We prepared the questionnaire on website. We asked thirty-three elderly people to participate in the experiment. The result showed high score of preference of green, blue, yellow, red rice respectively. For white rice showed high preference score almost same as green rice. Subjects commented that they feel natural, healthy with green color. White rice was looked common but it could make good contrast with food quite well.

  • Surachai Khankaew, Chanprapha Phuangsuan
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 44-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     The checkable indicator ink (Cii) was developed on the basis of semiconductor (SC) photocatalyst reaction and the redox dye (D) which could be printed as security ink and checked by exposing to UVA-light for counterfeit products. The Cii comprised of SC (titanium dioxide, TiO2), D (anthraquinone-2-sulfonate, AQS) and electron donor (glycerol), was dispersed in a polymer medium. Upon UVA exposure, the Cii label abruptly changed from colorless to yellow. At this state, the yellow-green luminescence of this Cii label was distinctly revealed when it was witnessed under dark condition. However, the Cii could be recovered to its original color when it was placed under room atmosphere for ~1.5-6.5 hrs.

  • Kanpicha Suwannawatanamatee, Surachai Khankaew, Chanprapha Phuangsuan
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 48-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     This study aims to experiment appropriate ratio of pigment from the nature to develop as Oxygen indicator. The trial brought the natural pigment of two kinds of vegetation, Red Cabbage and Turmeric. The intensity changes of the SC were in the ratio to weight of 30, 50 and 70 and SED with the ratio of 750, 1000 and 1500 of MC of 10-percent intensity of the weight as the binder. It was found that Red Cabbage film in the ratio to weight of SC to SED equal to 50: 1500, 70: 1500 rapidly changed and acquired the least time for 960 seconds upward after UV radiation. The Turmeric film took the mildest color of change with its original color.

  • 施 霖
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 52-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     Linear color additivity rules were foundation of color science. There were three linear color additivity rules. The first rule is A + B = B + A. The second rule is if A = B then kA = kB. The third rule is if A = B and C = D then A + C = B + D. All those rules were valid in spatial domain of human color vision while my new visual illusions showed that the first rule, A + B = B + A, was broken in temporal domain while others remained.

  • Chanprapha Phuangsuwan, Mitsuo Ikeda
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 54-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     This research aimed to demonstrate the simultaneous color contrast under three devices such as in the two-room, on the display and object. Four color papers of surrounding; red, yellow, green and blue were prepared. Gray patch pasted in the center of color paper. Subject task was to judge the color appearance of the gray patch by elementary color naming method. The result shows high amount of chromaticness of the gray patch in the two-room and display respectively. But the result of object viewing condition showed low amount of chromaticness. In the case of display the amount of chromaticness and hue judgement is similarly because of subject could perceive the color of surrounding as illumination but not color of an object.

  • Phubet Chitapanya, Mitsuo Ikeda, Chanprapha Phuangsuwan
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 57-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     This is an experiment on the simultaneous color contrast done by two techniques. In both cases the quantal catch was made equal at the central retina of 13°×10°. In one technique a small gray patch was placed on a colored paper, while in the other technique the same area was stimulated by the same color as for the paper technique but by illumination in a room. The color appearance of the central patch was measured by the elementary color naming. With the illumination very vivid color was perceived at the patch, while it was almost no color in the paper condition. The results showed the chromatic adaptation to take place to the illumination and not to the color of object.

  • Mitsuo Ikeda, Chanprapha Phuangsuwan
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 61-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     The simultaneous color contrast SMCC was investigated by the afterimage. The color appearance was measured, by the elementary color naming, for the central patch in the afterimage, for the surrounding, and for the afterimage of the surrounding. The color of the after image of the central patch was same as the color of the surrounding. The relation of the hue of the afterimage of the central patch to the hue of the surrounding afterimage suggested that the SMCC in the afterimage is yielded by the chromatic adaptation to the illumination of the surrounding afterimage.

  • Nischanade Panitanang, Mitsuo Ikeda, Chanprapha Phuangsuwan
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 64-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     Vivid colored LED light have a huge impact on human color perception. To investigate the color appearance of object color under vivid colored LED lights twenty-four color chips were assessed by five subjects using the elementary color naming method under ten lights with the increasing of vivid red; D65, R1, R2,… , and R9 which R9 is pure red LED. Data of eleven color chips covering hue were selected to plot on the polar diagram for analysis the amount of chromaticness and the hue angle changes. The results showed the changes of hue angle increased and decreased of chromaticness for more vivid color light, implying the deterioration of the color constancy with more vivid red color of LED lighting.

  • Tomonori Tashiro, Ryosuke Sato, Takehiro Nagai, Yasuki Yamauchi
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 67-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     Two experiments, MPOD measurement and brightness matching, were conducted. Individual MPOD was calculated from the results of central vision and peripheral vision (eccentricity of 6 degree). Twenty-two colors selected on the color gamut of a display were used for brightness matching. Ten subjects in their twenties participated. The results showed a negative correlation between B/L and MPOD. This means the B/L of color stimulus decreases as the MPOD increases. Also showed the same trend as the stimulus that contains large amount of short wavelength light to that does not contain short wavelength light. This suggests that there may be the higher mechanism that the compensation for the short wavelength region extends to other regions.

  • 齋藤 隆介, 永井 岳大, 山内 泰樹, 田代 知範, 内川 惠二
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 71-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     輝度検出において,a. L/M錐体信号の相対的な寄与比,b. L/Mノイズのマスキング効果比,のどちらにも大きな個人差が存在する(Giulianini & Eskew, 1998).本研究では,a, bの2種類の輝度検出特性の個人差がL/M錐体数比の個人差に起因するかを心理物理学的に検討した.はじめに,aを測定するため,LM錐体コントラスト平面上の様々な色方向へのガボール刺激検出実験を行った.計測された検出閾値輪郭からL/M錐体信号寄与比を推定した.次に,bを測定するため,LまたはM錐体ノイズ上で輝度ガボール刺激検出実験を行った.L/M錐体ノイズ上での閾値の比から,ノイズマスキング効果比を推定した.最後に,ERGで測定されたL/M錐体数比と心理物理学的交照法により測定された分光感度には強い相関があることが知られている(Kremers et al.,2000)ため,心理物理学的交照法により主観的等輝度を計測することによりL/M錐体数比を間接的に推定した.これら3種類の実験結果の相関関係を検討したところ,aとbのどちらの輝度検出特性もL/M錐体数比と有意に相関した.この結果は,L/M錐体数比の個人差が輝度検出において補正されず,輝度検出の心理物理特性の個人差要因となることを示唆している.

  • 梯 絵利奈, 村松 慶一, 崔 庭端, 日比野 治雄
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 75-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     筆者らはこれまで,主観的な代表色抽出によってアゲハチョウ科の色彩傾向を調査してきた(梯,笠松 2015).本研究ではより客観的なデータを得るため,類似画像検索技術を応用したアゲハチョウ科の色彩分析を目的とした.具体的には,Histogram Intersection(swain 1991)を用いて画像間の類似度を算出し,1-類似度を画像間の距離として階層的クラスター分析の変数に用い,108枚の蝶画像を分類した.各クラスターの画像群から,CIELChのヒストグラムを作成し,各属性の分布特性を分析した.その結果,主にL*とC*abの分布は50以下に集中し,二峰性分布では各峰のピーク間の色差ΔL*は50~90,ΔC*abは20~50または60~90であった.さらに,habの分布は30~120°または90~180°に集中し,二峰性分布でのΔH *abは60~150°または120~180°であった.これらの特徴をまとめると,アゲハチョウ科の蝶の色彩傾向は主に(1)低明度色や明度差が大きい配色が多く,段階的に明度が変化する. (2)低彩度色が多く,一部で彩度差が大きい.(3)色相は赤~黄緑や黄~青緑が多く,これらの補色がわずかに分布する.今後はより詳細な特徴を捉えるため,カテゴリカルカラーや三次元空間での分布傾向などについてさらなる分析を行う.

  • 野添 佑揮, 篠田 博之
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 79-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     外光からの映り込みはディスプレイの視認性を低下させ,眼精疲労や仕事効率の低下を引き起こすと報告されている.これまで映り込みを防止する表面処理の指標として反射率やヘイズ値などの光学特性で評価されてきた.しかし,これらの指標はある一点の反射度合いや拡散度合いを計測したものであり,ディスプレイの表面を全体的に見る人の見えとは少なくないずれが生じる.本稿では人の見えを定量化し,物理特性と関連させることで人の見えに一致する外光を含むディスプレイの視認性の指標化を目標とする.ディスプレイへの反射画像に正弦波格子画像を重畳させ,空間周波数成分特性が視認性へ与える影響を調査した.また,重畳させる際の原画像と反射画像の輝度調整係数を変化させ,輝度条件の関連性についても調査した.この結果,映り込みが視認性に与える影響が空間周波数ごとに異なり,コントラスト感度曲線に従って,視認性が低下することが明らかになり,分布変化も一定の関係性が見られた.しかし,原画像ごとに変化量が異なるという問題点が指摘された.

  • 山内 優希, 篠田 博之
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 81-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     ディスプレイの表面は外光の映り込みを防止するために,反射率を下げる,反射光を散乱させるなどの表面処理が施されている.これまでは表面処理の光学媒体の反射率と散乱特性を表すヘイズ値で映り込み度合いを評価していたが,それらの光学的な指標と人間の目による観察結果が必ずしも一致しない.原因の一つに,反射率もヘイズ値も一点での測定であるのに対し,観察時はディスプレイ上の様々な場所,角度から見て映り込みを評価していることがある.本研究ではディスプレイの表面処理による画像全体の変化を空間周波数の関数として表す変調伝達関数(MTF)で表現し,デジタルカメラを用いてMTFを計測する手法を提案する.光学媒体のMTFは表面処理をしていない原画像と表面処理後の画像のそれぞれのフーリエ変換で得られた振幅成分の比によって与えられる.そのためにデジタルカメラを用いて画像の輝度分布計測を行った.具体的に,異なる露光時間で撮影してHigh Dynamic Range(HDR)画像を作成し,HDR画像のRGB値からCIEXYZ三刺激値に変換した.実験では任意のMTFを有する周波数フィルタを適用した画像を画面上に呈示し,デジタルカメラで撮影することでMTFを推定し,実際に適用したMTFと比較した.

  • 高松 操, 松本 和二
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 83-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     肌の透明度の測定を主な目的とした半透明試料の吸収係数及び散乱係数を測定・算出できる透明度測定装置(プローブ測定面:20×90 mm, プローブ高さ:60 mm,分光部:40×40×150 mm,光源部70×70×110 mm)を開発した.一般的な測色器ではクベルカムンク方程式が利用されていることが多いが,生体など非破壊にて測定できるという利点から拡散方程式を用いた空間分解分光法(SRS)を測定法として採用した点が大きな特徴である.肌の色の見えや「透明感」という肌の印象評価において,皮膚の透明度の測定することが重要と考えられるため,肌の色研究や化粧品開発における評価試験法としての活用が期待できる.また非破壊で測定できるので果実や野菜など様々な半透明試料の透明度測定に利用できると考えている.今回は装置の説明と手のひらの皮膚を測定した際のデータを例に測定・算出の流れを説明する.

  • 室屋 泰三
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 87-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     絵画画像などの色彩画像の色変化の特徴を捉えるために階段関数系による展開係数を利用して,画面上の色変化の大きさ(波長)に対する色変化の強度を計量する手法を提案してきた.本研究では画面を再帰的に2分割することで完全正規直交性を持つ基底を構成できることを示し,分割として色変化の「重心」に着目して,絵画画像の色変化の特徴を捉えられる計量手法について提案する.

  • 高田 瑠美子, 原 直也
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 91-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     街並み形成のデザインに役立つ汎用性の高い誘目性の指標について改善の指針を見出すことを目的としている. 誘目性に影響する主要因として,順応輝度,離角(中心視からの偏心角),色の三属性の差,対象の配色,大きさ,形状がある.本研究では,離角と色の三属性の差に着目し,モニタを使用した一対比較法(浦の変法)で被験者実験を行った.具体的には, 均等色空間(CIECAM02)において,背景と視標の色差を系統的に調整した刺激を用いて,5°, 15°, 30°, 45°の4離角を実験変量として採用した.その結果,信頼区間95%における色の目立ちの主効果に有意な差が認められ, 中心視近傍と周辺視では色の目立ちの傾向が異なることが明らかになった.特に30°と45°の間でHJCともに顕著な差異が認められた.さらに,解析結果より左右の位置効果が離角5°で有意であり,同じ刺激の組み合わせでも左に位置する場合の評点が高くなるとことが確認できた.これらの結果から,誘目性の検討は色の属性単体で定性的に判断するのではなく,背景と対象の色差を定量的に検討し,対象を見る人を起点とした位置をも考慮する必要性を示した.

  • 岡 千晶
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 93-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     Woods&Spence(2016)は単色と配色から想起される基本味の検討を行い,色と基本味のイメージとの関連を明らかにした.本研究では,この研究の追試を行うことを目的とした.色刺激は,緑,黄,赤,ピンク,青,白,黒,紫の単色8刺激とそれぞれを組合わせた56配色の計64刺激を用いた.配色の提示向きは上下,左右を設定した.背景は灰色とし,ランダムに刺激を提示した.実験参加者は,iPadの画面中央に提示された色刺激について,最も当てはまる味覚を「甘い」「酸っぱい」「しょっぱい」「苦い」から選択し,さらにその選択に対する自信度を5段階で評価した.色覚が正常な大学生60名が実験に参加した.その結果,Woods&Spence(2016)の研究と本研究において類似した傾向が見られた.単色刺激と配色刺激に共通して,黒と苦味,黄と酸味,ピンクと甘味に関連が見られ,色から各味覚を想起させやすいことが明らかになった.この3つの味覚では単色で提示することで味覚との一致性が増加することが明らかになった.一方,塩味では想起させやすい白,赤,青から2色を配色して提示することで味覚との一致性が増加することが明らかになった.

  • 若田 忠之, 森谷 春花, 齋藤 美穂
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 96-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     前報であるWakata&Saito(2017)に引き続き,複数の感覚間の関係性に着目したCross-modal 研究における,色(視覚),音楽(聴覚),香り(嗅覚)の3つの感覚に共通する印象次元を抽出し,その印象次元における各感覚の関係性の検討および前報の結果に加えて香り,音楽に対する調和色の傾向と印象との関係性を検討することを目的とした.その結果,色の明るさとあざやかさと対応する印象次元が認められ,特に因子1は明るさ,あざやかさの判断と関連し,その判断が香りと色,音楽と色の感覚間の調和関係に影響を与える傾向が示された.

  • 中移 絵美, 若田 忠之, 齋藤 美穂
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 100-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     1つの楽曲について調性(長調,短調)とテンポ(80,120,160テンポ)を変換した6種を用いて,各楽曲に対する調和色とテーマや題名として相応しい単語の組み合わせを検討した.予備調査を通して決定した単語刺激は,無形かつ上位概念が共通するものとして四季群(春,夏,秋,冬)と感情語群(喜び,悲しみ,驚き,恐れ)を,色刺激はPCCSトーンにおける12トーン及び無彩色の13刺激を用いた.その結果,楽曲に相応しい単語として感情語群から,長調楽曲には「喜び」,短調楽曲には「悲しみ」が最も選択されることが示された.また,評価性因子得点について同じテンポの楽曲ごとにt検定を行なったところ有意差が認められたことから,評価性の印象は短調楽曲よりも長調楽曲で高く評価されることが明らかとなった.そして楽曲に相応しい組み合わせは,活動性の印象について楽曲・四季群単語・感情語群単語・調和色全て近い印象のものが選択される場合や,一部共通する場合など選択に一貫性はなく楽曲によって異なることが明らかとなった.

  • 木本 晴夫
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 104-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     中国の色譜としては代表的なものとして,「色譜」(中国科学院,1957年)と,「中国の伝統色」(大日本インキ化学,1986年)とがある.「中国の伝統色」の応用は主に美術・デザイン方面にある.「色譜」の応用は「(動物,植物などの)生物学,鉱物学,印刷染色,絵画などの各領域」であり,「中国の伝統色」に比べてその応用分野は幅広い.「色譜」はその成立過程や編集関係資料などは明らかでないとされている.近年,インターネットの普及によって,世界中の種々様々な情報がアクセス可能となった.このことは中国においても同様である.本研究では,「色譜」の編集委員達について調査を行い,それを通して「色譜」の成立背景を考察した.併せて,関係資料として,特に,「色譜」が参考とした「ロシアのボンダルツェフ色譜」を入手して「色譜」との対比を行った.その結果,「色譜」と「ロシアのボンダルツェフ色譜」はその色と色名において顕著な類似性は見られなかった.「色譜」は中国の自然,文化を反映して,色,色名などを幅広い分野にわたって独自に作られたものと考える.色名造語も自由闊達で,多種多様である.

  • 日髙 杏子
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 108-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     ブリティッシュカラーカウンシル(BCC)は,1931年に「イギリスの伝統色を標準化すること」を目的に設立され,1930年代から1950年代にかけ,活発に出版物を発行した色彩標準化団体であった.本発表では,色彩文化の視座からBCCが1930年代に公式発行した2点のカラーチャートを中心に,イギリス伝統色を色名・染料・測色値から調査する.第1に1934年発行「色彩標準事典」Dictionary of Colour Standards,そして第2に1937年発行「イギリス伝統色」British Traditional Colours を検討資料とする.本発表の目的は,イギリス伝統色の色名とチャートから,色相・明度・彩度を明確にする点にある.この調査結果から,どの色相や明度・彩度への偏りがあるかを検討していく.同時に,上記の出版物が発行された1930年代の社会背景を観察したい.本発表における2種類のBCCカラーチャートの3属性や色名の検討を通じ,ヨーロッパとアメリカにおける1930年代のナショナリズム・人種差別台頭の時代から,1950-60年代の人権・反人種差別運動の状況が読みとれる.

  • 鄭 暁紅
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 110-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     中国ミャオ族の歴史の中,色彩の応用は極めて複雑である.その色彩は記号化され,視覚から意味の多重化までなっている.本論文はシンボル学から,中国ミャオ族色彩を記号として応用する意味を研究する.論文の論理の成立は,ミャオ族の伝統的な色彩に基づいて非常に複雑な記号的な状態を備えている.視学から,ミャオ族の伝統色はあまりにも複雑な表示方式で,歴史を感知次元で,その複雑さは絶えず変化し,最も直接的な身体体験から,微妙な感情体験まで,その記号の表示方式が固定していない.シンボル学の角度から,ミャオ族の伝統色彩が異なる歴史条件の下で,その色彩の感知を考察し,複雑な歴史の霧の中で,相対的にはっきりした伝統色彩の変化道を見つけることができる.ミャオ族服装の色彩は,その伝統文化のなかに特殊な存在である,その色彩象徴の変化プロセスは,ミャオ族色彩の歴史変化の普遍的な意味を持っている,ミャオ族伝統色の秘密を開ける鍵を見つけることができるかもしれない.本論文の研究重点は,ミャオ族服装色の記号的意味を研究し,視覚から中国ミャオ族伝統色彩の多重変身の鍵を研究し,その色彩意義と象徴を解読し,有効的な応用方法を探る.

  • 吉村 耕治, 山田 有子
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 114-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     節分で頻繁に登場する鬼は,主に赤鬼と青鬼で,鬼の種類が多い場合には,黄(あるいは白),綠,黒の鬼が存在する.鬼の色は,地域によっては赤・青・黄や,赤・緑・黒という3鬼のところもあり,赤の頻度が最も高い.人生には「陰陽」がある.その陰の部分から,鬼が発生しており,日本では怪物のイメージから自然界にある主要な5色を利用して鬼が描写されている.それに対して,現代中国では「死者の魂」の意から「幽霊」のイメージが強く,怖いモノと考えられ,色で表現されないことが多い.鬼の5色は仏教や五行説と密接な関係がある.仏教の五色とは,青・赤・黄・白・黒で,青の代わりに緑,黒の代わりに樺色や紫が使われることがある.仏教を象徴する旗の国際仏旗は,左から青,黄,赤,白,橙,一番右の列には5色を上から順番に並べた縞模様となっており,それらの色にはそれぞれ意味が込められている.鬼はらいの儀式では平安京大内裏の外郭の十二の門に,青い土牛童子(以下,土偶)は東の門に,赤い土偶は南の門,黄色い土偶は東西南北の門,白色の土偶は西の門,黒色の土偶は北の門に立てられたと言及されている.陰陽五行説の五色が基本色になっている.

  • 馬場 靖人
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 118-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     J. ドルトンによる歴史上初めての学問的な色覚異常論の発表から遅れること十余年,ゲーテは『色彩論』(1810年)を上梓する.彼はそのなかで色彩一般についての研究とは別に色覚異常についての研究も行なったが,その著書の出版に先立つ1790年代に,すでに色覚異常の被験者を相手に独自の実験を行なっていた.本発表では,W. イェーガーによるゲーテの色覚異常実験法についての研究やゲーテ自身の著作を参考にしつつ,ゲーテが行なった実験の仔細な内容を検討し,その実験からどのようにしてゲーテが有名な「青色盲」説を導き出したのかを論じる(彼は,現在では赤ないし緑の知覚機能の欠如として説明される(赤緑)色覚異常を「青」の欠如として説明し,彼の被験者を「青色盲」と名づけた).彼の行なった実験とは具体的には,(1)灰色のグラデーションの提示,(2)複数の色彩斑点による混同色の特定,(3)茶碗に色を塗りつける実験,(4)紙片に塗った色による実験――以上の四種である.これらの実験を再検討することによって,18世紀末‐19世紀初頭における色彩にまつわる技術や文化と色覚異常研究との関係性の一端を明らかにすることができるだろう.

  • 王 詩洋
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 122-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     チークは歴史のある化粧品の一つであり,多くの女性に使用されている.近年,日本においてチーク商品の市場が拡大し,若い年齢層での使用率も非常に高いと言われた.一方,中国若年層女性の化粧習慣においてチークメイクの重要度が日本よりかなり低いと見られた.本研究は両国間では使用度の差異が見られた化粧アイテムに注目した.色,仕方,濃度という3要素を変化させ,日本人と中国人女性の顔写真から合成した平均顔を用いて,21枚の刺激画像を作成した.各種類のチークメイクが顔の印象形成に及ぼす影響を明らかにするため,日本在住中国人留学生を対象にし,12形容詞対を用いた印象評価を行った.結論としてチークメイクの印象を表す「魅力因子」,「活動因子」,「力量因子」が抽出された.因子得点の平均値を用いて3要因の分散分析を行った結果,魅力因子と活動因子においてチークメイクの各要素単独より色,仕方,濃度の組み合わせが印象に与える効果が大きいと示した.力量性に関する印象が色のイメージと強く関連している.クラスター分析の結果より,21刺激が4つのクラスターに分類され,クラスターごとに異なるチークメイクの印象が認められた.

  • 馬  君, 岡田  明, 山下 久仁子, 酒井 英樹
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 126-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     PCやタブレット端末などの液晶ディスプレイに表示する色の組み合わせの適正条件を明らかにする実験を行った.ここでは日本人と中国人の若年者高齢者男女を対象に,好き嫌いや見やすさ等の主観的評価および情報判別の速さを指標とした視認性評価を試みた.まず,ディスプレイ表示をモデル化した様々な図と地の配色画面を用いたアンケート調査を実施し,日本人68名(若年者39名,高齢者29名)と中国人75名(若年者43名,高齢者32名)のデータを得た.その結果,世代差や地域による文化の違いに基づく評価の違いが生じる配色が明らかとなった.次に,画面上に表示された様々な図と地の配色による文字または図形の意味や方向の情報を読み取る実験画面を作成し,表示されてから認知するまでの時間を計測する一連の実験を行った.参加者を世代および地域に基づき10名前後ずつのグループに分けて比較した結果,認知しやすい図と地の配色,そして世代差の大きい配色を明らかにした.以上の結果に基づき,好みや視認性に影響を与える要因について心理的生理的側面からの考察を試みた.

  • 國本 学史
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 130-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     日本は近代化・西洋化の過程で,明治時代以前からあった文化・習俗という土台に,明治時代以降,欧州や米国の文化・知識を急速に取り入れていった.その際,色彩の知識がどのように示され,教育されて行くのか,という点については未だに不明点が残る.本研究は,近代日本における色彩知識の伝授や色彩の教育を導いた様々な要素を歴史的に追い,日本近代における色彩の教育の諸相を明らかにする.特に,色の学習者が最初に「色」という概念や,識別のための色名を学ぶ,初等教育における色彩の教導を中心に見て行く.「色図」のような知識的にも充実した初等の色彩教育が数年で姿を消し,その後自由画教育の隆盛や,太平洋戦争,戦後と時代が変化して行く過程にあって,色彩の知識伝授や教育は,画一的な色彩教育という枠組みで全てを語ることはできない.色彩の教育は,教育制度にのみ依存するものではなく,雑誌や教科書以外の参考書等における教導や,材料・道具の変化,社会体制の変化という様々な要素に影響されるような,複合的な性質を有するものであったことについて整理する.

  • 槙 究, 関根 みのり
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 134-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     Web上のアンケート機能を利用し,日本,韓国,台湾の調査協力者に抽象的な色彩嗜好およびプロダクトの色彩嗜好について回答してもらった.調査では,各国40名以上の協力者が,抽象的画像と10種類のプロダクト画像をそれぞれ20種類の色彩に変化させた220枚の画像について好ましさを5段階で評定している.国別に評定平均値を算出して主成分分析を実施すると共に,3国の評定平均値を比較した.第1主成分の固有値が69%を占めるなど好みの共通性が大きいこと,白・黒・灰が好まれ緑・紫・黄・橙などの高彩度色が好まれないこと,色の好みの差異は赤・青も目立ったが,水色・ピンクなどの高明度・低彩度色,茶・カーキなどの鈍い色など,主にトーンと関連したグループとして捉えられることなどが明らかとなった.また,抽象的な色彩嗜好の違いがプロダクトの色彩嗜好に結びつくのは一部の国の一部のプロダクトに限られるという結果が出た.これは,抽象的な色の好みをベースにしたプロダクトの色彩嗜好の説明とは異なるモデルの必要性を示唆している.

  • 杉山 朗子
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 138-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     全国で進む景観計画の中で色彩は重要な要素の一つとして挙げられているが,2017年度の市民対象の調査では1割程度しか色彩に関する認識がなかったという報告も見られる.そんな中2013~2016年で実施された台東区景観ふれあいまつり下町塾という景観啓蒙の催しの中で開かれたワークショップで,地域それぞれ特徴のある色彩とその背景について有意義な知見を得ることができた.色彩を中心にまちの観察を行うことによって,素材やデザイン,さらにはそれに至った歴史や文化風習についてまで考察しやすくなることが確認できた.また,建築物・工作物だけでなく広告物の色彩も地域の景観にとって重要な位置を占めていることもわかってきた.簡単な色紙などを用いて,具体的な色を抽出,さらに自分たちで表現するなどツールを使って目と手を動かす方法を組み込むとわかりやすいようであった.この4回のワークショップを通して,色彩ガイドラインづくりや再開発等の際の色の提案などに役立つ「まちの色彩」を知るための手法の整理を行った.今後広く「まちの色彩」ワークショップ開催を勧めたい.

  • 近藤 桂司
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 142-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     街路を移動しながら連続した景観画像を撮影し,その画像中の色彩の「まとまり」の度合いや時系列変動を分析した.歴史的な町並みを保全している街路の景観画像色彩の「まとまり度」の標準偏差は小さい.これは「まとまり度」が一定範囲に収まっているということであり,見方を変えれば単調なシークエンス景観とも言えよう.屋外広告物の多い街路では,その影響が濃く反映されて視点移動に伴う「まとまり度」の変動の周期性が強くなっているものと考えられる.反対に広告物の少ない街路の変動周期性は弱い.しかし,屋外広告物だけで周期性を判断することはできないことがわかった.道路境界線からのセットバックや駐車場脇の壁面が景観画像内に大きな面積を占めることがあり,屋外広告物と同様の影響を及ぼしているのではないかと推測される.また,幅員が広く,景観画像中にそれら屋外広告物や建物が占める面積が小さい場合は,当然ながらその影響は小さくなる.幅員が広くても,街路樹や工作物によって視野が狭められており,道路の反対側が見えない街路では屋外広告物や街路軸に垂直な建物壁面の影響を強く受ける.そのため幅員の狭い街路と同様に周期性が強くなる.

  • 高山 美幸
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 144-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     今,日本国内では2020年に向けて各地で建設が進められ,政府の政策としても風土に根ざした魅力あるまち並みの向上として,2020年を目途に全国都道府県の半数の市区町村で「景観計画」の作成が進められている.しかし,制度の完備が質の向上を保障するものではなく,個々の建築への意識や人々のまちづくり意識が,魅力あるまち並みにつながる.このことから,個の建築を生み出している設計者を対象に,彼らの「まち並み」に対する意識を探ることから,風土に根ざしたまちづくりの方法論を考えていく.本研究では,設計者が考える魅力的なまち並みへの要素と色彩と素材要素の関係についてアンケート調査を行った.調査対象は20歳代から60歳代の現役建築設計士とデザイナー100名.結果は,魅力的なまち並みとして「歴史伝統を感じる地域」が半数以上であった.選定した対象地の魅力要因では,外装色や仕上材のまとまりといった地域全体の調和と,自然景観と建築物の調和が理由として挙げられている.また,魅力を感じる対象として色彩と建築仕上材の関係が密接であることが明らかとなった.

  • 成田 イクコ
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 147-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     神戸市の景観計画の色彩規制が,多くの自治体で定められている規制方法と異なることから,それら背景にあるものについて調べることで,景観計画の制度設計と色彩規制方法の関係について検討した.神戸市の景観計画は,全市域を景観計画区域にせず,かつ区域のほとんどが定性的な表現で色彩規制をしている点が,他の自治体とかなり異なることを調査から明らかにした.また,神戸市の景観条例の構成が,その後の景観法の骨格となり,その立法根拠となったことが,景観条例と景観法の研究の中で指摘されている.それらから神戸市の景観行政を調査することが,良好な色彩景観形成と景観計画制度のあり方を考えることが重要と考えた.過去のアンケート結果や調査から全建物を対象に数量的な色彩規制を設けることで騒色が防げることは言い得る.しかし,景観法の目的とは,景観法自体が直接に景観を規制するわけではなく,自治体の景観に関する計画や条例,それに基づいて地域住民が締結する景観協定に,実効性・法的強制力をもたせようとすることにある.神戸市の景観計画の制度がそれにあてはまることが,今回の調査で明示できたのではないかと考える.

  • 加藤 美子
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 151-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     景観計画に色彩基準を記載している行政団体の中で.定量的な数値評価を導入している計画がある.これらの数値基準の傾向と実態を明らかにし,今後の景観形成における知見を得ることを目的とする.本研究の調査対象は2012年2月1日現在までに景観計画を策定している全国274市町村の行政団体の市内全域の色彩制限基準を,国土交通省ホームページ景観ポータルサイトから調査しデータ分析を行った.マンセル値の制限を行っている189計画については三属性・地域属性別の制限値を分析し,景観形成基準の調査方法・各属性の分布状況・数値決定までのプロセスについてアンケートを実施した.アンケートの結果,マンセル値の制限基準は客観性や運用のしやすさが見られ,彩度を重視し地域属性に則した基準値の設定が行われ,調査基準値を参照していない計画の方が彩度基準が緩くなる傾向である.今後の課題として,住民・行政・業者が各々の立場で協働により,地域資源情報を共有しながらより地域特性を明確に打ち出した形態意匠の制限項目を提言することが求められる.

  • 桂 重仁 , 須長 正治
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 155-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     異常3色覚の色の見えは,2色覚と3色覚の間の色の見えであることは,様々な研究で明らかになっている.しかし,異常3色覚の異常の程度は,2色覚に近い強度から3色覚に近い弱度まで様々である.この程度の差による色の見えの変化の詳細は,まだわかっていない.一方,2色覚の色名応答は,色刺激の呈示時間に影響されることがわかっている.本研究では,異常3色覚の色名応答に着目することで,2色覚から3色覚へ色名応答がどのように変化するかを明らかにすることを目的とした.実験では,呈示時間を50から3200 msec.の7条件で変化させ,色刺激1023色を1色ずつモニタに呈示した.被験者の課題は,各色刺激に対し14色の色カテゴリによる色名応答をすることであった.被験者は,2型異常3色覚1名,2型2色覚1名,3色覚2名であった.結果は異常3色覚,2色覚共に呈示時間が長くなると3色覚の色名応答に類似する傾向を示した.この傾向は,低明度の緑に対し強く現れ,高明度色には明確に現れなかった.また,3色覚の色名応答との一致率は異常3色覚の方が高く,異常3色覚は2色覚と3色覚の間の特徴を示した.

  • 城戸 今日子, 桂 重仁, 須長 正治
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 158-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     カラーユニバーサルデザインの新しい配色手法として,2色覚が知覚している色空間内の色で配色した後,混同色線に沿って色を変更して3色覚向け配色を決定する手法が提案されている.我々は,この新たな配色手法を確立するため,2色覚が知覚している黄青-明度平面上の色において,配色に適した複数の色カテゴリを明らかにした(城戸ら,2017).本研究では,黄青-明平面外の色が黄青-明度平面上のどの色カテゴリと類似して知覚されるかを明らかにすることを目的とした.分類刺激として,マンセル色票より基本10色相の5と10,明度は1から9,彩度は2から各色相における最大値まで2おきの色をディスプレイ上に呈示した.背景はN9.5の白であった.被験者は2型2色覚1名であった.被験者の課題は,1色ずつ呈示された分類刺激を黄青-明度平面上の色カテゴリのうち最も類似する色カテゴリに分類することであった.その結果,カテゴリ分類が混同色線の方向と一致しない色が存在することが示された.今後,この結果が表色系や混同色線の選択によって説明可能なのかを検討する予定である.

  • 橋本 愛理, 篠田 博之
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 161-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     目撃証言は有力な証拠となり,裁判の判決にも影響することがある.証言の正確さの研究は周辺環境の影響などを考慮し,様々な視点から行われている.本研究では,特に色についての情報が含まれる目撃証言に着目し,周辺環境の影響による色認識の変化を調査した.刺激は,明所視から薄明視の明るさレベルにおけるマンセル色票65色をディスプレイ上に再現した.刺激提示の際,周辺刺激はN5に相当する無彩色を用いた.色の計測手法はカテゴリカルカラーネーミング法を採用し,19色の色名から選択させた.実験条件は,照度レベル200lx,20lx,1.8lx,0.2lx,刺激サイズは視角5 deg,1 deg,0.5 deg,観察時間は9 sec,1 sec,0.5 secとした.実験は2回行い,一致した応答を調査した.結果,照度レベルの低下に伴い,刺激サイズ,観察時間の影響が現れ,色認識が著しく変化した.また,低照度レベル,小視対象,短時間観察の目撃証言において,「赤」「茶」「紫」「灰」という色情報は,実際には「ピンク」である可能性が高いことが予測される.以上より,観察条件が悪い目撃証言における色情報は慎重に扱う必要があることが示唆された.

  • 小坂 晏子, 篠田 博之
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 163-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     ディスプレイの画像品質は使用環境の影響を受けて変化しやすく,環境光の重畳によって色調変化が起こると情報伝達に支障を来すことがある.しかし現在,色調変化を考慮した評価基準の十分な検討はされていない.均一な光がディスプレイ面に重畳する時,輝度の上昇に伴ってコントラストが反比例の関係で低下するため,ディスプレイに色光が重畳することで起こる色調変化は,提示画像の輝度とコントラストを制御することで物理的に再現できる.これを利用して,複数の基準画像にRGB各方向について輝度,コントラスト変化を施した様々な色光をシミュレーションしてディスプレイに重畳させた評価画像を作成し,両画像を比較して主観的に画質を評価する実験を繰り返し行った.この結果得られた評点は,CIEu’v’均等色度図と心理計測明度L*を組み合わせた均等色空間上で算出される∆u',∆v',∆L*の変化量に対応しており,∆u',∆v',∆L*が大きいほど評点が低下することが明らかになった.そこで∆u',∆v',∆L*を入力変数とした評点の近似曲線を導出して色調変化量から画像品質を関数的に推定し,ディスプレイ全体が均一に色調変化したときのディスプレイイメージの画質評価指標を提案する.

  • 伊藤 隼, 嶋田 友梨, 篠田 博之
    2018 年 42 巻 3+ 号 p. 165-
    発行日: 2018/05/01
    公開日: 2018/07/17
    ジャーナル フリー

     建築分野では明るさの指標として水平面照度が用いられてきた.しかし人が空間を見る時,床面だけでなく室内全体を見渡すため,照度がそのまま人の感じる明るさを表すわけではない.よってこれまでに人間の感覚を考慮した様々な明るさの指標(以下,明るさ感と呼ぶ)が開発されてきた.例えば輝度分布を考慮して明るさ感を定量化する指標などが存在する.しかしこれらの指標は窓のない場合であり,昼光の影響は考えられていない.そこで先行研究では,昼光がどのように明るさ感に影響するかを調査してきた.先行研究では実験に模型を用いていたが,手間やコストがかかるため,本研究では様々な条件を簡単に再現できるディスプレイを用いて行い,ディスプレイ上でも昼光が明るさ感に与える影響は同様であるかを検討した.実験では昼光の強さの違う室内の写真2枚を提示した.それらを比較し片方の照明の強さを変えて,同じ明るさに揃えてもらった.その結果,先行研究と同様に同一照度上において,昼光が多く入射する空間の方が,少ない空間に比べて明るさ感が低いという結果が得られた.よってディスプレイ上でも,現実空間で得られる昼光の影響と同じであるとわかった.

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