日本色彩学会誌
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等色の個人差と差異を生み出す要因に関する研究
今野 敦司畠山 邦広川島 祐貴田代 知範永井 岳大山内 泰樹
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2017 年 41 巻 3+ 号 p. 159-162

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抄録
 異種メディア間での等色を行なった場合,観察者によって等色色度が異なることが報告されている.この個人差は主に短波長域の色で確認されているが,その要因については明らかにされていない.そこで,本研究では等色の個人差をもたらす要因を検証することを目的とした.実験1では,要因の一つと考えられる黄斑色素の影響に着目し,短波長成分を含むメタマーに対する等色実験を行った.その結果,黄斑色素が参照メタマーに与える影響量と赤緑方向のテスト色度のばらつきに相関がみられた.さらに,この等色実験の結果と各被験者の黄斑色素濃度に対応関係が認められた.このことから,黄斑色素が赤緑方向の等色の個人差の一因であることが示された.一方で,青黄方向の等色と黄斑色素の相関は赤緑方向に比べて弱かった.そこで,実験2では,三刺激値に加え黄斑色素の影響量を揃えたメタマーを作成し,青黄方向の等色のずれについて検証した.その結果,青黄方向の等色のばらつきと各メタマーの水晶体による吸収量との間に相関がみられた.このことから,青黄方向のばらつきはメタマーの水晶体吸収量に起因する可能性が示唆された.
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