2018 年 42 巻 3+ 号 p. 126-
PCやタブレット端末などの液晶ディスプレイに表示する色の組み合わせの適正条件を明らかにする実験を行った.ここでは日本人と中国人の若年者高齢者男女を対象に,好き嫌いや見やすさ等の主観的評価および情報判別の速さを指標とした視認性評価を試みた.まず,ディスプレイ表示をモデル化した様々な図と地の配色画面を用いたアンケート調査を実施し,日本人68名(若年者39名,高齢者29名)と中国人75名(若年者43名,高齢者32名)のデータを得た.その結果,世代差や地域による文化の違いに基づく評価の違いが生じる配色が明らかとなった.次に,画面上に表示された様々な図と地の配色による文字または図形の意味や方向の情報を読み取る実験画面を作成し,表示されてから認知するまでの時間を計測する一連の実験を行った.参加者を世代および地域に基づき10名前後ずつのグループに分けて比較した結果,認知しやすい図と地の配色,そして世代差の大きい配色を明らかにした.以上の結果に基づき,好みや視認性に影響を与える要因について心理的生理的側面からの考察を試みた.