2018 年 42 巻 3+ 号 p. 122-
チークは歴史のある化粧品の一つであり,多くの女性に使用されている.近年,日本においてチーク商品の市場が拡大し,若い年齢層での使用率も非常に高いと言われた.一方,中国若年層女性の化粧習慣においてチークメイクの重要度が日本よりかなり低いと見られた.本研究は両国間では使用度の差異が見られた化粧アイテムに注目した.色,仕方,濃度という3要素を変化させ,日本人と中国人女性の顔写真から合成した平均顔を用いて,21枚の刺激画像を作成した.各種類のチークメイクが顔の印象形成に及ぼす影響を明らかにするため,日本在住中国人留学生を対象にし,12形容詞対を用いた印象評価を行った.結論としてチークメイクの印象を表す「魅力因子」,「活動因子」,「力量因子」が抽出された.因子得点の平均値を用いて3要因の分散分析を行った結果,魅力因子と活動因子においてチークメイクの各要素単独より色,仕方,濃度の組み合わせが印象に与える効果が大きいと示した.力量性に関する印象が色のイメージと強く関連している.クラスター分析の結果より,21刺激が4つのクラスターに分類され,クラスターごとに異なるチークメイクの印象が認められた.