日本色彩学会誌
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新しい動く錯視図形の提案
藤原 功基松田 博子北岡 明佳
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 228-

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抄録

 今回は,中心ドリフト錯視とフレーザー・ウィルコックス錯視を応用しながら,よく似ているが異なる見え方をする新しい錯視図形について提案する.多角形を複数配置しドット模様のような背景図形を作り,その上に円形を配置した.明るさのコントラストを用いたグラデーションにより,図形が大きく広がって見える新しい動く錯視図形と,補色を用いて図形同士が離れていくように見える図形のデザインを紹介する.また図形作成に当たり,色相・明度・彩度の検討をした.大きく広がって見える図形では,暖色系よりも「緑・青紫・紫」の中性色と「青」の寒色系,「黒・灰」などの無彩色に設定した円形には,錯視現象が見られた.特に青紫色が最も錯視量が大きく感じられた.また離れていくように見える図形では,補色もしくは補色近似色の組み合わせの錯視量が大きく,色相別に考察した結果,「青紫(円形)と濃い橙色(背景)」が最も錯視現象が起きた.暖色系の円は動かず,寒色系では「青・青紫」が最も動いて見えるなどの結果が得られた.また新しい錯視図形の応用図形も数点紹介する.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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