日本色彩学会誌
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分光プロジェクションマッピングによる肌の見かけ操作 
白澤 裕喜平井 経太堀内 隆彦
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 24-

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抄録

 プロジェクションマッピング(Projection Mapping,PM)は,物体表面に塗装や加工を施すことなく見えを操作することができるため,エンターテイメントのみならず,商品開発シミュレーション等の幅広い専門分野で使用されている.近年では,人間の顔にPMを行い,表情を操作する方法なども提案されている.しかしながら,従来のPMではRGBプロジェクタを用いており,人間の肌の分光的な見え操作を行うことは不可能であり,リアルな再現は困難であった.本研究では,著者らが開発した分光プロジェクタを用いて,肌の見かけを分光的に操作するPM技術の構築を目的とする.提案手法では,まず,ファンデーション塗布前後の肌の分光反射率を計測し,その変化を事前知識として与える.そして,化粧前後の分光的変化に基づき,投影対象の素肌が化粧肌になるように,分光PMを用いた見かけの操作を行う.実験では,実際の化粧肌と分光PMを行った肌の分光計測を行い,それらの分光分布やL*a*b*値を比較した.実験結果より,分光PMによる肌の見えは化粧肌に数値的に近い結果が得られ,提案手法の有用性が示された.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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