日本色彩学会誌
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CG と効果音のクロスモーダル質感モデル
中村 巧平井 経太堀内 隆彦
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 22-

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抄録

 CG分野において,質感をリアルに再現する研究が盛んに行われている.それらの研究の多くは,視覚的な質感再現を行うものである.しかし,人間は視覚情報だけでなく,聴覚情報や触覚情報などの複数の感覚情報を組み合わせて,クロスモーダルに質感を認知している.そのため,CGでリアルな質感を再現するためには,視覚的な再現だけでなく,他の感覚も考慮したクロスモーダルなCG質感再現が重要と考えられる.本研究では,視覚と聴覚に着目し,光沢感・金属感に関して,CGと効果音のクロスモーダルな相互作用のモデル化を目的とする.まず,CGと効果音に関するクロスモーダル光沢感および金属感の評価実験を行った.その結果,両質感において,シングルモーダル(視覚のみ,聴覚のみ)に比べて,クロスモーダル(視覚と聴覚の組み合わせ)の刺激を用いた場合に,相乗効果のあることがわかった.この結果から,クロスモーダル質感知覚において,CGと効果音の相互作用の存在が示唆された.評価結果に基づいて,物理的な特徴量と評価結果を重回帰分析することにより,クロスモーダルな質感モデルを構築した.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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