日本色彩学会誌
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L/M 錐体数比と輝度検出特性の関連性 -交照法による間接的検討
齋藤 隆介永井 岳大山内 泰樹田代 知範内川 惠二
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 71-

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抄録

 輝度検出において,a. L/M錐体信号の相対的な寄与比,b. L/Mノイズのマスキング効果比,のどちらにも大きな個人差が存在する(Giulianini & Eskew, 1998).本研究では,a, bの2種類の輝度検出特性の個人差がL/M錐体数比の個人差に起因するかを心理物理学的に検討した.はじめに,aを測定するため,LM錐体コントラスト平面上の様々な色方向へのガボール刺激検出実験を行った.計測された検出閾値輪郭からL/M錐体信号寄与比を推定した.次に,bを測定するため,LまたはM錐体ノイズ上で輝度ガボール刺激検出実験を行った.L/M錐体ノイズ上での閾値の比から,ノイズマスキング効果比を推定した.最後に,ERGで測定されたL/M錐体数比と心理物理学的交照法により測定された分光感度には強い相関があることが知られている(Kremers et al.,2000)ため,心理物理学的交照法により主観的等輝度を計測することによりL/M錐体数比を間接的に推定した.これら3種類の実験結果の相関関係を検討したところ,aとbのどちらの輝度検出特性もL/M錐体数比と有意に相関した.この結果は,L/M錐体数比の個人差が輝度検出において補正されず,輝度検出の心理物理特性の個人差要因となることを示唆している.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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