日本色彩学会誌
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デジタルカメラを用いた光学媒体の変調伝達関数(MTF)の計測
山内 優希篠田 博之
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2018 年 42 巻 3+ 号 p. 81-

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抄録

 ディスプレイの表面は外光の映り込みを防止するために,反射率を下げる,反射光を散乱させるなどの表面処理が施されている.これまでは表面処理の光学媒体の反射率と散乱特性を表すヘイズ値で映り込み度合いを評価していたが,それらの光学的な指標と人間の目による観察結果が必ずしも一致しない.原因の一つに,反射率もヘイズ値も一点での測定であるのに対し,観察時はディスプレイ上の様々な場所,角度から見て映り込みを評価していることがある.本研究ではディスプレイの表面処理による画像全体の変化を空間周波数の関数として表す変調伝達関数(MTF)で表現し,デジタルカメラを用いてMTFを計測する手法を提案する.光学媒体のMTFは表面処理をしていない原画像と表面処理後の画像のそれぞれのフーリエ変換で得られた振幅成分の比によって与えられる.そのためにデジタルカメラを用いて画像の輝度分布計測を行った.具体的に,異なる露光時間で撮影してHigh Dynamic Range(HDR)画像を作成し,HDR画像のRGB値からCIEXYZ三刺激値に変換した.実験では任意のMTFを有する周波数フィルタを適用した画像を画面上に呈示し,デジタルカメラで撮影することでMTFを推定し,実際に適用したMTFと比較した.

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© 2018 一般社団法人 日本色彩学会
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