2018 年 42 巻 3+ 号 p. 93-
Woods&Spence(2016)は単色と配色から想起される基本味の検討を行い,色と基本味のイメージとの関連を明らかにした.本研究では,この研究の追試を行うことを目的とした.色刺激は,緑,黄,赤,ピンク,青,白,黒,紫の単色8刺激とそれぞれを組合わせた56配色の計64刺激を用いた.配色の提示向きは上下,左右を設定した.背景は灰色とし,ランダムに刺激を提示した.実験参加者は,iPadの画面中央に提示された色刺激について,最も当てはまる味覚を「甘い」「酸っぱい」「しょっぱい」「苦い」から選択し,さらにその選択に対する自信度を5段階で評価した.色覚が正常な大学生60名が実験に参加した.その結果,Woods&Spence(2016)の研究と本研究において類似した傾向が見られた.単色刺激と配色刺激に共通して,黒と苦味,黄と酸味,ピンクと甘味に関連が見られ,色から各味覚を想起させやすいことが明らかになった.この3つの味覚では単色で提示することで味覚との一致性が増加することが明らかになった.一方,塩味では想起させやすい白,赤,青から2色を配色して提示することで味覚との一致性が増加することが明らかになった.