2018 年 42 巻 6+ 号 p. 37-
本研究では,製品の色の嗜好を,上の「事物の介在による選好の変化」という観点から検討する.ここでは,色そのものに対して持つ「選好」と,どういう色の製品を好むかという「嗜好」との違いに注目し,両者の一致度が各条件でどのように異なるかを調べた.調査では,まず色だけについての選好を被験者に尋ね,さらに,冷蔵庫・ノートパソコン・スマートフォンを対象として,色の嗜好を調べて,「色自身の選好」と「製品の色についての嗜好」を比較した.その結果,「選好」と「嗜好」の一致度は,製品によって異なるのみならず,男性と女性の間でも差があることが示唆された.とくに,女性は男性に比べて,製品が「身に付けるもの」かどうかが,色の選好と製品色の嗜好の一致度に影響している傾向が見られた.