抄録
これまで, 良食味炊飯米における微細構造的特徴の1つとして, 炊飯米の内部に発達し弾力性などの物理性に関与すると考えられる「海綿状構造(SS)」を指摘した. SSの発達程度は多くの場合, 炊飯米の表層部ほど良好であるが, このような発達程度の差異にはイネ胚乳デンプンの主成分であるアミロペクチンの分子構造の違いが関与する可能性がある. 本報では, 粒内の位置によるアミロペクチンの側鎖(α-1, 4鎖)長分布の違いを明らかにするため, 粒を表層, 中層および内部に分け, 高速陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAE-PAD)法を用いた分析により検討した.