超音波医学
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特集「実践3次元心エコー法:今,診療に導入すべき評価項目」
僧帽弁複合体
尾長谷 喜久子大倉 宏之
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2014 年 41 巻 2 号 p. 165-174

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抄録
経食道心エコーで左房側から描出されるsurgeon’s viewは,リアルタイムで描出が可能で僧帽弁の解剖を容易に理解できることから,3次元心エコー図法のなかで最も臨床に応用される手法である.また,取り込まれた3次元画像から2次元画像を切り出すmultiplaner reconstruction(MPR)法は,2次元心エコーでは描出の難しい断面を描出することができ,僧帽弁病変の詳細な観察が可能である.僧帽弁逆流ではカラードプラ法を用いてvena contracta areaを切り出して計測することにより重症度の指標となる.3次元心エコーの弱点にスティッチアーチファクトがあるが,僧帽弁狭窄例の弁口面積の計測では心房細動例であっても関心領域をできるだけ小さく設定すると,1心拍で弁口の3次元データを取り込むことが可能で,これから正確な弁口を切り出し,面積を計測することができる.弁下構造を捉えるためには,経食道心エコーの経胃アプローチが有用であり,通常の中部食道アプローチと合わせて観察することで僧帽弁複合体全体を把握できる.弁輪のサドル型形状の評価や弁尖のtenting volumeといった3次元計測は臨床応用には至っていない.経食道心エコーと比較し非侵襲的な経胸壁心エコーの解像度がさらに改善され,3次元指標の自動解析が正確にできるようになれば臨床応用も進むであろう.
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© 2014 一般社団法人 日本超音波医学会
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