水稲の収量を決定する要素は, 単位面積あたりの粒数, 登熟歩合および玄米千粒重である。玄米千粒重は遺伝的に決定される品種の籾がらの大きさによって強く規制されるのでその変動は少ない。これに対して, 単位面積あたりの粒数および登熟歩合は環境要因に影響されやすく, したがってその変動も大きい。過去において, 窒素施肥法および施肥量とこれらの収量構成要素を関連づけた報告は極めて多くなされているが, 収量調査の際に穂を1本ずつ調査した事例は見当らない。そこで本研究では, 典型的に異なる施肥法で水稲を栽培し, 施肥法が一穂粒数および登熟歩合の穂間変異および収量に及ぼす影響を明らかにしようとした。