抄録
心肺蘇生の経験が少ない救急領域以外の看護師34名の心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation以下CPRとする)の質の推移について,Basic Life support(以下BLSとする)コース受講前・受講後及び3か月後に客観的評価機能を用いて調査を実施した。胸骨圧迫全体のパフォーマンスは受講前49.4%。受講後58.5%,3か月後61.0%。深さは受講前43.4mm,受講後45.5mm,6か月後46.9mm。リコイルは受講前91.5%,受講後92.7%,3か月後95.0%。正しい速さは受講前28.4%,受講後31.7%,6か月後58.7%。手の位置は受講前91.4%,受講後96.0%,3か月後96.3%でどの項目も3か月後の数値の上昇が認められた。受講3か月後に胸骨圧迫の質が上昇した要因は,BLSコース内容を臨床で想起することが可能となり,実際の場面に遭遇した時に実践できるように意識するととができたと推測される。今後は受講6か月後,1年後の胸骨庄迫の質を評価することでCPRの質の維持に対する教育方法について検討することが求められる。