Journal of Clinical Simulation Research
Online ISSN : 2433-054X
原著
薬学部学生を対象とした一次救命処置(BlS)実習実施による手技の評価
―通報、人工呼吸、AED操作―
井上 知美 八重樫 柊穂久川 隆造石渡 俊二野々木 宏小竹 武
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2017 年 7 巻 p. 8-14

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抄録
 薬学部4年次生798名を対象とし、「アメリカ心臓協会(AHA)ファミリー&フレンズコース」での一次救命処置(BLS)実習による教育の有用性と問題点を検討した。AHA認定インストラクターによる実習前後の評価では、救急対応システム通報(前:88.9%、後:99.6%)、人工呼吸(前:35.7%、後:78.0%)、自動体外式除細動器(AED)要請(前:75.7%、後:99.7%)など、すべての実施評価項目に関して、実習後の実施率が有意に向上した(p<0.05)。さらに、通報・AED要請終了までの時間(前:13.52±8.7秒、後:9.2±28.5秒)、胸骨庄迫の中断時間(前:10.6±5.8秒、後:9.0±4.9秒)、AED到着後からショックまでの平均時間(前:76.5±16.5秒、後:54.7±8.1秒)についても実習後に有意に短くなった(p<O.05)。実習実施により手技の向上が示されたが、人工呼吸の評価項目は実施率が低い結果となった。人工呼吸の実技練習は胸骨圧迫の実技練習より回数が少ないことや、人工呼吸の実技に際し、インストラクターによる個々の実技修正が大人数でのトレーニングでは十分に実施できないことが原因であると考えられ、今後、実習内容や実施規模による人工呼吸の手技習得の検討が示唆された。
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© 2017 日本災害医療教育研修協会
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