日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第48回日本植物生理学会年会講演要旨集
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シアノバクテリオクロム TePixJ の機能・構造解析
*石塚 量見福島 佳優成川 礼嶋田 崇史片山 光徳伊藤 繁池内 昌彦
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p. 340

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抄録
シアノバクテリアは開環テトラピロールを結合する一群の GAF ドメインを持ち、その中に植物のフィトクロムと異なる吸収ピークを示すものがある。われわれはこの一群をシアノバクテリオクロムと総称し、先行研究で走光性の新奇光受容体、好熱性シアノバクテリア Thermosynechococcus elongatus BP-1 の TepixJ 色素結合ドメイン TePixJ_GAFの性質を報告してきた。常温性シアノバクテリア Synechocystis sp. PCC 6803 で発現、精製した His タグ融合 TePixJ_GAF は 433 nm と 531 nm の可逆的な光変換を示した。質量分析から、色素結合ペプチド断片を同定し、色素の分子量がフィコシアノビリン (PCB) と同じことを示したが色素の吸収スペクトルはフィコシアニンの PCB とわずかに異なっていた。本発表では PCB を色素に持つ Synechocystis のフィトクロム Cph1 と TePixJ_GAF を用いた詳細な変性実験と時間分解スペクトル測定結果を報告する。 酸性尿素での実験は、 TePixJ_GAF の色素、 Cph1 のPCB は共にタンパク質を変性しても光変換するが、前者の吸収スペクトルは後者と明らかに異なっていた。時間分解吸収変化のグローバル解析は TePixJ 光変換過程で複数の異なる中間体が存在することを明らかにした。以上のことは TePixJ がフィトクロムと同様に C リングと D リングの間で異性化反応を起こすが他の部位が構造的に異なる幾何異性体である可能性が考えられる。
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© 2007 日本植物生理学会
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