抄録
交通事故発生にあたっては再発防止と類似の事故発生の予防が求められる。事故は様々な形態で頻発し、類似の事故も多いとは言えず、事故予防のために次の3つの段階による分析が行われている。まず、車の動きを解明する衝突解析、1件の事故における人間の関与やエラーを分析する定性的時系列事後分析、さらに交通事故全体に対して行う統計分析である。交通事故における車の走行段階から車両停止に至る運動の過程は不明確である場合が多い。そのため、発生した事故について車の挙動を解析する分析が求められ、これが衝突解析である。交通事故の特徴は、人間の行動が重要であること、人間の行動に環境要因が影響すること、現象の時間経過が事故の内容に影響することなどである。そのため、事故要因の解明には人間・車・交通環境の関係を調べることが重要であり、バリエーションツリー分析が行われる。国全体で発生する事故を防止するために、まず事故を体系化し、体系化された事故についてその特徴や要因を明らかにする統計分析が行われる。安全目標設定のためには、推移比較、構成率比較、累積分布比較、相対危険度分析などが行われ、傷害軽減や事故防止を目的とする事故要因分析のためには回帰分析手法等が利用される。交通事故における被害の軽減や事故の防止のためには科学的な事故分析が欠かせないが、その目的を果たすためには、衝突解析や定性的時系列事後分析における精度向上と共に、経済的指標の組み込みなど新たな統計分析手法の開発が求められる。