日本交通科学学会誌
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軽微な事故で横転する軽ハイトワゴンの危険性
本宮 嘉弘高塚 尚和
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2018 年 17 巻 2 号 p. 34-41

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抄録

わが国では近年、軽ハイトワゴンと呼ばれる車高の高い軽乗用車が流行しているが、このような車種は重心が高いため、交差点等で低速度で衝突しただけでも容易に横転する。車両が横転した場合、乗員が車室内に強く二次衝突したり、割れた窓部から車外放出されるなどして死傷することが多い。筆者らが実際に調査した横転死亡事故をもとに、実車を用いた衝突実験やコンピューターシミュレーション解析により事故時に軽ハイトワゴンが横転するメカニズムを解明した。その結果、横転には衝突後のヨー回転速度やローリング共振周波数等が影響することが判明し、さらに走行速度が低いほど横転し易い可能性も示された。このため、軽ハイトワゴンが横転し易い車両であることを周知させるとともに、横転に備えてカーテンシールドエアバッグの装着を義務付ける等の方策が必要であろう。

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© 2018 一般社団法人 日本交通科学学会
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