日本交通科学学会誌
Online ISSN : 2433-4545
Print ISSN : 2188-3874
交通事故に起因する重症急性硬膜下血腫に対する初療室減圧開頭術
平泉 志保加藤 文崇野澤 正寛越後 整塩見 直人
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 17 巻 2 号 p. 28-33

詳細
抄録
重症急性硬膜下血腫の死亡率は非常に高く、治療は可及的早期の大開頭による血腫除去術が推奨されている。今回、初療室において減圧開頭術(開頭血腫除去および外減圧)を行った、交通事故に起因する重症急性硬膜下血腫例の時間経過および転帰を検討し、その有効性について考察した。2011年以降、初療室で減圧開頭術を行った重症急性硬膜下血腫は7例であり、そのうち交通外傷に起因するものは6例であった。受傷から搬入までの時間、搬入からCTまでの時間、CT施行から手術開始までの時間、退院時の転帰について調査した。受傷から搬入までの時間は平均38.8分、搬入からCTまでの時間は平均25.2分、CTから手術までの時間は平均25.8分であった。退院時の転帰は良好3例(GR2例、MD1例:50%)、死亡例は1例(16.7%)であった。診断から30分以内で減圧が開始できる初療室減圧開頭術は、重症急性硬膜下血腫の転帰を改善させる可能性がある。
著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本交通科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top