日本交通科学学会誌
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Print ISSN : 2188-3874
原著論文
中山間地域における道路線形別の自動二輪車単独事故の分析
國行 浩史武智 想
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2024 年 24 巻 1 号 p. 26-35

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抄録
中山間地域が多くを占める長野県の交通事故の特徴的な事故形態として自動二輪車事故が挙げられ、特に単独事故が多くを占め、道路線形の影響が示唆されている。そこで本研究では、長野県交通事故統計データを用いて、自動二輪車単独事故における道路線形の影響を四輪車単独事故と比較して分析した。分析対象は、長野県において2010年~ 2020年の11年間に一般道で発生した原付を除く自動二輪車単独事故134件と、四輪車単独事故1,169件とした。ここで、道路線形の分類は交通事故統計データに準じた。その結果、自動二輪車は、道路線形が下り勾配の事故が最も多く約40 %を占め(四輪車:約27 %)、その内、左右カーブを伴う事故が約35 %(四輪車:約16 %)であり、カーブを伴う下り勾配の道路線形で死亡重傷事故が多いことがわかった。さらに、自動二輪車の死亡重傷事故率が高い道路線形は、下り勾配の左カーブおよび上り勾配の右カーブが挙げられ、それぞれ約95 %(四輪車:約55 %)、約91 %(四輪車:約32 %)であり、四輪車と比較しても高いことがわかった。以上のことから、自動二輪車は勾配や左右カーブを伴う道路線形による影響を受けやすく、特に、下り勾配の左カーブや上り勾配の右カーブなどの特異な道路線形による事故要因があることがわかった。
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