抄録
【目的】BPSDの解決に向けた新規評価尺度である認知症困りごと質問票(BPSD+Q)を開発し、信頼性・妥当性を検証する。【方法】介護保険主治医意見書の周辺症状項目を中心とした過活動13項目、低活動6項目、生活関連6項目、せん妄2項目の計27項目を選定し、各質問項目の重症度と負担度を0~5点で評価するBPSD+Qを開発した。また、せん妄を除いた25項目をBPSD25Qとした。認知症高齢者83名を対象に、BPSD+QとNPI-Qを評価し、Spearman順位相関係数を用いて基準関連妥当性を検討した。内的一貫性はクロンバックのα係数で検討した。そのうちの55名を対象に、BPSD+QとNPI-Qを2週間後に再評価し、検者内信頼性をICC(1.1)で検討した。また、認知症高齢者4名のそれぞれを介護職員3名が評価して、検者間信頼性をICC(2.1)で検討した。【結果】BPSD+Qのクロンバックのα係数は重症度0.78、負担度0.80であった。BPSD+QとNPI-Qの相関は、重症度はρ=0.64(p<0.01)、負担度はρ=0.65(p<0.01)とやや強い有意な正の相関を認めた。ICC(1.1)で、BPSD+Q重症度はρ=0.68、負担度はρ=0.70であった。一方、NPI-Q重症度はρ=0.61、負担度はρ=0.55であった。ICC(2.1)で、BPSD+Q重症度はρ=0.73、負担度はρ=0.68であった。一方、NPI-Q重症度はρ=0.37、負担度はρ=0.45であった。BPSD25Qでも信頼性・妥当性はほぼ同様の結果だった。BPSD+Qでは、繰り返し質問(70%)、傾眠傾向(40%)、易怒性(37%)の出現率が高かった。【結論】BPSDを過活動、低活動、生活関連に分け、BPSDへの対応に根ざした評価尺度であるBPSD+QとBPSD25Qを開発し、信頼性・妥当性が確認された。