抄録
【目的】BPSDの予兆や初期症状を捉えて予防するためのBPSD気づき質問票57項目版(BPSDNQ57)を開発し、妥当性・信頼性を検証する。
【方法】対象は認知症高齢者103名(一部47名)である。評価はNPI-Qと今回開発したBPSD-NQ57を用い、初回と2週間後の2回実施した。なお、BPSD-NQ57はNeuropsychiatric Inventory(NPI)に含まれる9下位項目をもとにBPSDの予兆や初期症状となる計57項目(9カテゴリー:不安、脱抑制、常同行動、易怒性、興奮、もの盗られ妄想、幻覚、無関心・アパシー、うつ)で構成されている。妥当性はSpearman順位相関係数を用いて検討した。また、該当するNPI-Q項目の重症度でBPSDあり群、BPSDなし群に分けて、BPSD-NQ57の当該カテゴリー合計点をMann Whitney U-testで比較した。信頼性はクロンバックのα係数で検討した。また、検者内信頼性として初回と2週間後評価をICC(1.1)で検討した。さらに、検者間信頼性として認知症高齢者4名のそれぞれを介護職員5名が評価し、ICC(2.1)で検討した。
【結果】BPSD-NQ57のクロンバックのα係数は0.83であった。BPSD-NQ57とNPI-Qはρ=0.53と中程度の有意な正の相関を認めた。また、BPSD-NQ57各カテゴリーは対応するNPI-Q各下位項目とすべて弱いから中程度の有意な正の相関を認めた。BPSD-NQ57の点数は、もの盗られ妄想を除く8カテゴリーでBPSDあり群の方が有意に高かった。BPSD-NQ57はICC(1.1)でρ=0.78の検者内信頼性を示した。経験年数3年以上の介護職員で絞るとICC(2.1)でρ=0.56の検者間信頼性を示した。
【結論】BPSD-NQ57を開発し、妥当性・信頼性が確認された。