日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
研究報告
新潟大学歯学部臨床実習における臨床能力評価
藤井 規孝竹中 彰治多部田 康一佐藤 直子秋葉 奈美小田 陽平勝見 祐二小野 和宏前田 健康
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 33 巻 1 号 p. 4-11

詳細
抄録

抄録 歯学教育を改善するために, 各大学歯学部・歯科大学においてさまざまな取り組みが行われている. なかでも, 診療参加型の臨床実習を充実させることは重視されており, それぞれの歯学部・歯科大学は信頼される歯科医師を輩出するという最も大きな社会的命題を果たすべく努力を続けている. 新潟大学歯学部では, 卒業生の質の保証を目的に, 臨床実習においてACCEPT Projectを立ち上げ, 「ACKPIS」 と称する方法を用いて学生の臨床能力を評価してきた. ACKPISは診療を自験する学生に対し, どのような専門領域においても必要不可欠となる6つの基本項目を, それぞれの専門処置を評価課題として確認するものである. 今回, ACKPISの効果を検証するために, 平成28年度の受検生にアンケート調査を行った. ACKPISの基本項目は, ADEAやGDCが提唱する歯科医師に求められるコンピテンシーの中にも該当する記述がみられ, 国内外で医師に対して行われている臨床能力評価法同様, 診療現場でのフィードバックを含んでいることから, 歯学生の臨床能力を評価するために適当であると考えられた. また, アンケート結果から, 受検した学生もACKPISの必要性や重要性を認識し, 受検方法や合否判定の妥当性を認めていることが明らかになった. 以上のことから, ACKPISは臨床実習中の学生の臨床能力を評価するための有用な方法となり得ることが示唆された.

著者関連情報
© 2017 日本歯科医学教育学会
次の記事
feedback
Top