日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
33 巻 , 1 号
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研究報告
  • 藤井 規孝, 竹中 彰治, 多部田 康一, 佐藤 直子, 秋葉 奈美, 小田 陽平, 勝見 祐二, 小野 和宏, 前田 健康
    2017 年 33 巻 1 号 p. 4-11
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 歯学教育を改善するために, 各大学歯学部・歯科大学においてさまざまな取り組みが行われている. なかでも, 診療参加型の臨床実習を充実させることは重視されており, それぞれの歯学部・歯科大学は信頼される歯科医師を輩出するという最も大きな社会的命題を果たすべく努力を続けている. 新潟大学歯学部では, 卒業生の質の保証を目的に, 臨床実習においてACCEPT Projectを立ち上げ, 「ACKPIS」 と称する方法を用いて学生の臨床能力を評価してきた. ACKPISは診療を自験する学生に対し, どのような専門領域においても必要不可欠となる6つの基本項目を, それぞれの専門処置を評価課題として確認するものである. 今回, ACKPISの効果を検証するために, 平成28年度の受検生にアンケート調査を行った. ACKPISの基本項目は, ADEAやGDCが提唱する歯科医師に求められるコンピテンシーの中にも該当する記述がみられ, 国内外で医師に対して行われている臨床能力評価法同様, 診療現場でのフィードバックを含んでいることから, 歯学生の臨床能力を評価するために適当であると考えられた. また, アンケート結果から, 受検した学生もACKPISの必要性や重要性を認識し, 受検方法や合否判定の妥当性を認めていることが明らかになった. 以上のことから, ACKPISは臨床実習中の学生の臨床能力を評価するための有用な方法となり得ることが示唆された.

  • 中島 貴子, 石﨑 裕子, 伊藤 晴江, 奥村 暢旦, 塩見 晶, 長谷川 真奈, 中村 太, 佐藤 拓実, 藤井 規孝
    2017 年 33 巻 1 号 p. 12-19
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 近年求められている歯科医学教育の実質化を図るために, 指導歯科医の質的向上は欠かせない. 本研究の目的は, 研修歯科医による臨床指導評価が, 指導歯科医の指導能力開発に取り組む意欲の向上に及ぼす影響を検証することである.

     平成27年度新潟大学医歯学総合病院歯科医師臨床研修単独型プログラムの指導歯科医 (以下, 教員) 6名と臨床指導補助を行う若手歯科医師 (以下, 医員) 7名を対象とした. 研修終了時に, 研修歯科医22名がこれら13名の臨床指導についてマーストリヒト臨床教育評価票を用いて評価した結果をそれぞれにフィードバックした後, 教員, 医員に対してアンケート調査を実施した.

     教員は研修歯科医による臨床指導評価をおおむね肯定的にとらえており, 全員が研修歯科医からの評価は必要であると回答した. 医員では, 評価が自身にとって有意義である, 今後の指導に活かせるという回答は半数であったが, 自らの後輩指導という役割への気づきを示す回答もみられた. 教員, 医員から共通して, 指導上留意すべき点が明文化して提示されることは個人のみならず, 部署内の指導方針の統一とひいては臨床研修の充実に有意義との指摘があった.

     研修歯科医による臨床指導評価は, 内容や方法を工夫すれば比較的抵抗なく受け入れられ, 指導歯科医の教育能力開発意欲を向上させるために有用な方法となり得ることが示された.

  • 畠山 純子, 春名 千英子, 松本 典祥, 水上 正彦, 松埼 英津子, 廣松 亮, 森 南奈, 村上 弘, 大城 希美子, 吉永 泰周, ...
    2017 年 33 巻 1 号 p. 20-29
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 福岡歯科大学では診療参加型臨床実習の評価の一助として, 大学独自の課題を設定し臨床実習における総括的評価を行っている. 本学の総括的評価の教育効果および患者からの評価について検討を行った.

     平成27年度5年生67名の臨床実習生が保存科で6週間臨床実習を行う期間中に, 「永久歯初期齲蝕に対してフッ化物塗布を行う」 を課題として, 学生1名に2名の評価者が評価を行った. 総括的評価終了後, 患者と学生にアンケートを実施した.

     評価者による総評価は, 10点満点で平均8.6点とおおむね良好の成績であった. 再石灰化の説明は2点満点で平均点数1.85であり, 学生の79%が患者の理解が得られるように工夫したと答え, 94%の患者が理解できたと回答した. フッ化物塗布の評価は平均1.74であった. フッ化物を正しく塗布できたと回答した学生は91%であった. 今後のフッ化物塗布希望に関する質問では, 48%の患者が受けたいと答え, 受けても良いが49%の値を示した.

     本実習を通じて, 学生のエナメル質初期齲蝕の理解および技能評価において高い値を示した. 評価者から学生へのフィードバックを行うことにより, さらに学生の知識, 技能を深められたと考えられ, 患者への貢献もできたと考えられる.

  • 佐藤 裕二, 北川 昇, 下平 修, 七田 俊晴, 桑澤 実希
    2017 年 33 巻 1 号 p. 30-38
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 わが国の高齢化率は26.7%に達し, 高齢者歯科学の重要性が増している. ヨーロッパでは高齢者歯科学の教育ガイドライン (“European College of Gerodontology : undergraduate curriculum guidelines in Gerodontology”) が作成され, 日本老年歯科医学会では翻訳を行った. そこで, このガイドラインを使用して歯学部学生にアンケート調査を行い, 高齢者歯科学の講義と実習の進行に伴う学生の理解度の変化を検討した.

     対象者は, 歯学部の平成26年度4年生100名と平成27年度5年生98名で, 調査時期は, 高齢者歯科学講義開始前, 講義修了後, 基礎実習修了後, 臨床実習修了後の計4回, 50問のアンケート調査を4段階で回答させた. 調査時期による比較には, カイ二乗検定を用いた. なお, 本研究は, 昭和大学歯学部医の倫理委員会の承認 (承認番号2013-042) を受けている.

     アンケートの回収率は90%であった. 「はい」 と 「どちらかといえばはい」 を合わせた回答を肯定的, 「いいえ」 と 「どちらかといえばいいえ」 を合わせた回答を否定的とすると, 講義前に比べて基礎実習修了後では, すべての質問項目で肯定的な回答が有意に増加した (p<0.05). すなわち, 講義と実習の進行に伴い, 高齢者歯科学の理解度の向上が示された.

  • 上原 任, 三澤 麻衣子, 山﨑 晴美, 尾﨑 哲則, 中島 一郎, 桑田 文幸
    2017 年 33 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 患者と医療従事者との会話では 「専門的で分かりにくい用語」 の使用は好ましくないとされている. 学生同士が患者役・医療従事者役に分かれて行うロールプレイでは, これらが使用されている場面にしばしば遭遇する. さらに, 学生を指導するファシリテータの専門分野などによって, 「専門的で分かりにくい用語」 の基準が異なることも経験される. 今回, これらの実態を把握することを目的として, ロールプレイの逐語録を分析した.

     平成27年度日本大学歯学部第四学年生のカリキュラム 「医療面接」 にて行われた, 初診時医療面接を想定したロールプレイ演習時に学生が作成した逐語録を用いた. 63本の逐語録から, 「専門的で分かりにくい」 用語を非歯科医師ファシリテータ1名が24語, 歯科医師ファシリテータ2名がそれぞれ6語と7語を抽出した. 歯科医師ファシリテータ2名が抽出した語はほとんど一致しなかった. また, 逐語録と患者用シナリオを検討したところ, 医療者役学生は初診時に聴取すべき項目として学習済の用語を, 患者役学生は患者用シナリオに記載されている用語をそのまま使用する傾向がみられ, シナリオ作成の際には 「専門的で分かりにくい用語」 の取扱いに留意する必要があると考えられた.

その他(新しい取り組み)
  • 山﨑 晴美, 上原 任, 三澤 麻衣子, 鈴木 公啓, 尾﨑 哲則, 桑田 文幸, 藤田 之彦, 穴澤 万里子, 中島 一郎
    2017 年 33 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー

    抄録 歯科臨床の経験のない第3学年後期の学生に対して, 傾聴技法を用いた初診時の医療面接をロールプレイで体験させる前に, 今回開発したワークシートを用いた演習を導入した. ワークシートは表形式を用いて作成したものをA3判横の用紙に印刷したものである. 横1行に, 左から (1) 病歴聴取の項目, (2) 歯科医師の質問, (3) 患者の回答, (4) 歯科医師の応答の4つの欄が設けられている. なお, (1) と (3) の文面はすでに印刷されており, (2) と (4) は空欄となっており, ここに学生が記入する. この1行を1つのユニットとして位置づけ, 34行の歯科医師の質問と患者の回答, 歯科医師の応答欄, それに要約を2カ所 (面接の途中と最後 : 会話番号なし) 設け, あわせて36行で初診時医療面接 (急性症状) の場面を記述するものである.

     本ワークシート開発の視点は以下の通りである.

     ①歯科診断学の専門知識をまだ習得していなくとも一応の質問作成は可能であること. すなわち, すでに提示されている患者の回答を引き出すための質問を考えるという方法によるためである.

     ②学生は医療面接の構造に沿った反応をしており, 医療面接の大きな流れを, 紙上ではあるが体験できるものであること.

     ③疾患を探る伝統的な診断法と, 患者の心理的体験を尊重しラポールを形成していく2つのアプローチの統合を目指す患者中心医療への導入となること.

     学生に本ワークシートを実施し分析した結果, 本ワークシートによる紙上応答訓練を行うことは有効であることが示された.

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