日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
調査報告
臨床実習生に対する歯科用実体顕微鏡実習の教育実践報告―デモンストレーションおよびトレーニングの教育効果―
木方 一貴田中 雅士赤堀 裕樹長谷川 智哉瀧谷 佳晃河野 哲
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2020 年 36 巻 3 号 p. 144-149

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抄録

抄録 朝日大学歯学部では平成30年度より第5学年保存科臨床実習生の希望者に対し歯科用実体顕微鏡 (以下, マイクロスコープ) を使用した体験実習を開催している. 本研究では, デモンストレーションとトレーニングが学修効果に及ぼす影響を検討したため報告する.

 実習参加を希望した23名の学生が, 顎模型に装着された上顎左側第一小臼歯の模型歯を用いてマイクロスコープ実習を行った. まず, インストラクターがマイクロスコープの瞳孔間距離, 視度の調整方法および焦点距離や倍率の調整方法を口頭にて説明し, 模型歯の口蓋側根管口に最大倍率で焦点を合わせるまでの時間および口蓋側歯面に付与したコンポジットレジンを探針にて除去するのに要した時間の計測を行った. その後, 焦点距離, 倍率の調整方法, ミラーとレストの位置およびポジショニングなどのデモンストレーションおよびトレーニングを行い, 再び同じ操作に要する時間を計測した. なお, 比較のためインストラクターも同様の計測を行った.

 焦点を合わせる時間は, 指導前後で有意に減少したものの, インストラクターと比較すると有意に長かった. コンポジットレジンを除去する時間に関しては指導前後で有意に減少し, また, インストラクターの結果と同等の結果を得た. 以上より, 本実習においてデモンストレーションおよびトレーニングを実施することにより, マイクロスコープの操作に一定の学修成果が得られた.

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