日本歯科医学教育学会雑誌
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Print ISSN : 0914-5133
研究報告
歯科衛生士による研修歯科医の診療パフォーマンス評価の試み
長谷川 真奈伊藤 晴江奥村 暢旦中村 太佐藤 拓実藤井 規孝
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2021 年 37 巻 1 号 p. 3-10

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抄録

抄録 新潟大学病院歯科医師臨床研修では, 指導歯科医による研修歯科医の診療観察を用いて形成的評価を行っている. 今回は評価者に歯科衛生士を加えてその効果を検証した. 対象は令和元年度の研修歯科医22名とし, Yes/Noで判断する6つの評価項目と判定基準, 合格要件をあらかじめ説明した後, 自己申告により指導歯科医, 歯科衛生士による診療パフォーマンス評価Competence Assessment (CA), CA by DHを実施した. CAは, 保存, 補綴, 口腔外科領域において各1回ずつ合格することを求め, CA by DHの受検は努力目標として, 歯科衛生士の診療介助を必要とする処置に対象を限定した. 結果の分析は, CA, CA by DHおよびこれらに対するアンケートについてデータを収集することができた, 16, 22, 22, 21名分について行った. CAの平均受検回数は1.3回, 初回合格率は69.3%であり, CA by DHの合格率は63.6%で保存系処置を対象としたものが多かった. CAでは診断に基づく処置の実践, 器材使用上の注意遵守, CA by DHでは器材準備や介助者への配慮についてNoと判定される傾向が高く, 専門職によって評価の観点は異なることが示された. また, いずれにおいても複数の評価項目でNoと判定されるケースが認められたが, 対象処置とNoの判定された評価項目の間に一定の傾向はみられなかった. アンケートではCA, CA by DHを肯定的に受け止める回答が比較的多くみられた. 以上より, さらなる改善を要するものの, 歯科衛生士による研修歯科医の診療評価の有用性が示唆された.

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