日本歯科医学教育学会雑誌
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調査報告
学生歯科診療室における過去7年間の患者動向の分析―ハーバード大学の教育システムを取り入れた岩手医科大学歯学部改革プロジェクト―
浅野 明子田邉 憲昌佐々木 大輔水川 卓磨熊谷 美保小林 琢也野田 守佐藤 和朗三浦 廣行
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2021 年 37 巻 2 号 p. 56-62

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抄録

抄録 岩手医科大学歯学部では, 2011年よりハーバード大学と教育改革プロジェクトを開始し, 改革の一環として学生歯科診療室を新設した. 今回, 学生歯科診療室の7年間の患者動向分析を行ったので報告する.

 対象は, 2012年5月から2019年3月までの間に学生歯科診療室に通院した患者484名とした. 患者の治療内容をハーバード大学の症例分類を参照に6タイプに分類し, 初診時の患者年齢, 治療の進行状況, 治療期間, 中断理由について調査を行った.

 その結果, 下記のことが明らかになった.

 1. 患者の年齢層は, 60~70歳台が約半分を占めた.

 2. 症例ケースは, 補綴治療を含むタイプⅢ, Ⅴが多かった.

 3. タイプⅣは治療期間が約35カ月とかなり長期間となっており, 症例の難易度に差があることが明らかになった.

 本調査から学生歯科診療室の新設により, 診療参加型臨床実習の充実が図られたと考える. しかし, 学生に適切な症例を選択するための基準の構築や, 患者確保などの問題も抽出され, さらなる改革が必要と思われた.

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