日本歯科医学教育学会雑誌
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調査報告
臨床実習生に対する歯科用実体顕微鏡実習の教育実践報告―eラーニングシステムとアクティブラーニングの活用―
木方 一貴田中 雅士赤堀 裕樹長谷川 智哉瀧谷 佳晃河野 哲
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2021 年 37 巻 3 号 p. 102-108

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抄録

抄録 朝日大学歯学部では, 2018年度より第5学年保存科臨床実習生の希望者に対し, 歯科用実体顕微鏡 (以下, マイクロスコープ) を使用した体験実習を開催している. 本研究では, eラーニングシステムによる事前学修と, グループワークやグループトレーニングによるアクティブラーニングを活用した実習が学修効果に及ぼす影響を検討したため報告する.

 2019年度の実習は第5学年学生の保存科臨床実習生の希望者27名に対して行った. 参加者には, 実習に先立ちeラーニングシステム (Moodle) に設定したマイクロスコープの構造と操作方法に関する資料により事前学修を促した. 実習開始時に顎模型に装着された上顎左側第一小臼歯の根管付き模型歯の口蓋根に最大倍率で焦点を合わせるまでに要した時間の計測を行った後に, グループワークを30分間実施し, 再度同様の時間計測を行った. その後インストラクターによるフィードバック後にグループトレーニングを行い, 焦点調整時間の計測をした. 計測した焦点調整時間を, Mann-WhitneyのU検定を用いて統計学的処理を実施した.

 焦点を合わせる時間は, 実習前後で有意に減少した. グループワーク後の結果はデモンストレーションとトレーニングのみを行った前年度の実習後の結果と同等であり, グループトレーニング後の結果はインストラクターと同等の結果を得た.

 本実習において事前学修とグループワークを効率的に用いることにより, マイクロスコープの操作に一定の学修成果が得られた.

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