日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
原著
対話型鑑賞(VTS)が歯学生の観察力に与える影響
仲谷 寛大澤 銀子
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2024 年 40 巻 3 号 p. 119-124

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抄録

抄録 対話型鑑賞(Visual Thinking Strategies:VTS)は観察力の向上に有効といわれるが,歯学教育においてその効果を検証した報告はほとんどない.そこで,VTSの歯学生に対する観察力への影響と検証方法について検討した.VTSセミナーの参加者は,総計90名の臨床実習生である.VTSセミナーでは,教員のファシリテーションによるVTSを2回行い,口腔内写真とエックス線写真の所見を記述するよう求めたプレテスト–ポストテストにて,観察項目数と記述内容をもとに観察力の評価を行った.各グループは,プレテスト–ポストテストに異なる画像を用いたグループ(D群)と同じ画像を用いたグループ(S群)の2群に分けた.プレテストはD群とS群で同一である.プレテスト–ポストテストにて列挙された所見の項目数の平均は,両群ともポストテストでは有意な増加が認められた(口腔内写真:D群5.4項目から6.4項目へ,S群5.2項目から7.6項目へ)(エックス線写真:D群3.5項目から4.4項目へ,S群3.1項目から4.2項目へ).記述内容については,プレテストが観察された事実のみであったのに対し,ポストテストではその原因や背景にまでいたるようになった.本研究により,歯学生においても,VTSは観察力の向上に有効であることが示唆された.観察力の検証には,プレテスト–ポストテストを学生自身の振り返りに用いることを考慮すると,同一の画像を用いたほうが有効と思われた.

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