日本歯科医学教育学会雑誌
Online ISSN : 2433-1651
Print ISSN : 0914-5133
原著
診療フィードバックの実践に対する指導歯科医および研修歯科医の認識について
杉本 浩司鎌田 幸治野上 朋幸多田 浩晃樋口 賀奈子角 忠輝鵜飼 孝
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2024 年 40 巻 3 号 p. 88-99

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抄録

抄録 一般的に指導歯科医からのフィードバックは,研修歯科医の成長に効果的であると考えられている.しかし,理想的なフィードバックシステムがどのようなものであるかは明確になっておらず,各研修施設で試行錯誤しているところと考える.そこで,理想的なフィードバックシステムのあり方を検討するために,長崎大学病院歯科医師臨床研修プログラムで2023年度に実施した診療評価とそのフィードバックを踏まえ,指導歯科医と研修歯科医のフィードバックに対する考えに関してアンケート調査を行った.

 その結果,指導歯科医は,研修歯科医の理解度を確認しながら指導を行うことができるため,対面でのフィードバックが有効であると感じていたことがわかった.また,研修歯科医は,指導歯科医からのアドバイスや意見交換の時間を得ることができ,指導歯科医からのフィードバックが自己の学びにつながったと考える者が多かった.一方で,フィードバックの時間の確保,評価基準の統一などの問題点も明らかとなった.

 今回のアンケート結果からも,指導歯科医はフィードバックの必要性および重要性を認識しており,対面での実施に意義を感じているようであった.また,フィードバックは,研修歯科医にとっても自身の診療を省察する機会となる可能性があると示唆された.対面と非対面のハイブリッド型のフィードバックなど,今後よりよいフィードバックシステムの構築に向けて,取り組みが必要であると考えられる.

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