口腔衛生学会雑誌
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原著
歯科用金属によるアレルギーのスクリーニング法としてのパッチテスト
山中 すみへ太田 薫高柳 篤史野村 登志夫高江洲 義矩
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1997 年 47 巻 1 号 p. 27-35

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抄録

アレルギーの最も簡便な検査法として皮膚貼付試験(パッチテスト)があるが,今回歯科用金属によるアレルギーをスクリーニングするためのパッチテストを検討した。1991年から1996年にわたって歯科大生839名を対象として,16金属と植物アレルゲンのウルシについてパッチテストを行った。最も陽性率の高い金属は,水銀で7.7%であったが,ウルシの陽性率10.8%よりも低かった。陽性率の順は水銀>コバルト>亜鉛>スズ>マンガン>ニッケル>金>パラジウム>インジウム>クロムであったが,アルミニウムやイリジウム,銀,チタンで陽性率が低かった。コバルトやニッケル,亜鉛では,男性に比べて女性の陽性率は有意に高く,女性が化粧品や装飾品などにより感作の機会が多いことを示した。花粉症や食物,薬物アレルギーなどのアレルギー経験者では,金属のパッチテスト陽性率が高く,アレルギー経験者は歯科用金属にも感作されやすいことを示唆している。またパッチテストに用いる金属の濃度が高いと皮膚刺激性により陽性率が高くなり,さらに同じ水銀でも塩化第二水銀よりもチメロサールで陽性率が高かった。したがって歯科用金属のアレルギー性をスクリーニングするためには,パッチテストに用いる金属の適切な試験濃度や化合物の検討が今後必要である。

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© 1997 一般社団法人 口腔衛生学会
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