1997 年 47 巻 1 号 p. 83-88
Porphyromonas gingivalisの細胞凝集活性は,宿主組織への菌の接着に関連があると考えられている。本研究は,8株のP. gingivalisより調製した外膜小胞のヒト歯肉線維芽細胞に対する細胞凝集活性と3種のアルギニン代謝関連酵素(BApNA分解活性,アルギニンカルボキシペプチダーゼ活性,アルギニンデイミナーゼ活性)の間の関連性について評価することを目的として行ったものである。各菌株のサンプルについて上記酵素活性を測定し,細胞凝集活性を従属変数,3種のアルギニン代謝関連酵素活性を説明変数として重回帰分析を行った。その結果,重相関係数は0.762,決定係数は0.580であった。また,BApNA分解活性とアルギニンデイミナーゼ活性の回帰係数はおのおの196.5(p<0.01)と-172.8(p<0.05)であった。これらの結果から,BApNA分解活性が細胞凝集に強く関連すること,アルギニンデイミナーゼ活性は負に働くことが示唆された。