口腔衛生学会雑誌
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原著
歯科医療業務従事歯科衛生士数の将来推計に関する調査研究
小島 登喜子末高 武彦
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1997 年 47 巻 5 号 p. 663-674

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抄録

歯科衛生士の職業寿命や需要供給量について明らかにするため,17都府県に在住する歯科衛生士1,712人を対象として「歯科衛生士の業務従事状況調査」を実施した。回答者は749人であり,歯科衛生士免許取得後の既婚率は6〜10年目で57%, 16〜20年目で88%である。歯科衛生士業務への従事率は,未婚者では1〜5年目で94%, 6〜10年目で88%,11〜15年目で82%, 16〜20年目で77%であり,既婚者ではそれぞれ61, 50, 48, 55%である。このうち,フルタイム従事者は,未婚者では1〜5年目で98%で,その後徐々に低下し16〜20年目で87%となり,既婚者では1〜5年目で92%で,その後次第に低下し16〜20年目で68%となる。日本人女性の将来生命表に基づく死亡率と上記の既婚率,業務従事率,フルタイム従事率をもとに,歯科衛生士免許取得者1万人の免許取得後40年目までの業務従事率を推計すると,フルタイム従事率は10年目で58〜66%,20年目で37〜44%, 40年目で35〜42%となる。また,パートタイム従事者も加えた総従事率は10年目で64〜71%,20年目で54〜60%,40年目で52〜58%となる。歯科衛生士養成数が現在の入学定員で今後も推移すると仮定したとき, 2020年における業務従事歯科衛生士推計数は,フルタイム従事者が約126,000〜145,000人となり,パートタイム従事者も加えると約160,000〜177,000人となる。

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© 1997 一般社団法人 口腔衛生学会
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