口腔衛生学会雑誌
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原著
歯周疾患の総合的診断プログラム(FSPD34型)の信頼性と妥当性の検討(1) : 歯周疾患自己評価尺度と口腔内診査結果の関連妥当性について
中村 譲治筒井 昭仁堀口 逸子鶴本 明久
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1999 年 49 巻 3 号 p. 310-317

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抄録

歯周疾患は感染症であるとともにさまざまな要因が絡んだ生活習慣病でもある。著者らは,企業における健康づくり型歯科保健事業の試みとしてプリシード・プロシードモデルを構成概念の枠組みとして採用し,歯周疾患にまつわる諸要因を総合的に評価することができる診断プログラムを開発した。診断プログラムは,有機的に関連している複数の尺度から構成される質問紙となっている。今回は,それらの尺度のなかの疫学診断に相当する歯周疾患自己評価尺度について,診療室内で信頼性と判別的妥当性の検討を行った。診療所を訪れた成人患者258名を対象に,年齢と性別および歯周疾患に問する自覚症状6項目からなる質問紙による調査と,全歯牙4点法によるCPIの測定を行った。質問紙の歯周疾患自覚症状6項目について,クロンバッハのα係数を求めた。CPIの結果を外的基準として,質問紙の歯周疾患に対する判別的妥当性を評価した。解析は歯周疾患の有無を目的変数に,自覚症状に性別を加えた7項目を説明変数として多重ロジスティック回帰分析を行い,質問紙の歯周疾患有無に関する的中精度を求めた結果,クロンバッハのα係数は0.71であり,適中精度は20歳以上群と25歳以上群では71%,30歳以上群で75%,35歳以上群で77%,40歳以上群で80%,45歳以上群で82%であった。結論として,開発した歯周疾患自己評価尺度は,集団の歯周疾患の有病状況の把握に有用であると考えられた。

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© 1999 一般社団法人 口腔衛生学会
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