口腔衛生学会雑誌
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原著
フッ素徐放性歯科材料による歯根象牙質の再石灰化
南 健太郎永井 康彦稲葉 大輔染谷 美子松田 浩一米満 正美
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2001 年 51 巻 3 号 p. 293-297

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抄録

フッ素徐放性歯科材料が象牙質初期扇蝕の再石灰化に及ぼす効果をin vitro で検討した。材料には0.1M乳酸ゲル(pH5)により人工初期釧蝕を形成した牛歯歯根象牙質を用いた。脱灰歯面の中央に規格円形高利(直径3mm)を形成し,フッ素徐放性材料であるDyract ® (Dentsply), Fuji lonomer ® Type II (ジーシー)またはFuji II LC (ジーシー)のいずれかを充填した。その後,ミネラル溶液(1.5 mM CaCl2,0.9mMKH2PO4,20mM Hepes, pH 7)に14日間浸漬した。また,高利を形成せず実験歯面にNaFとして2 ppmFを添加したミネラル溶液を作用させた試料を比較のために設定した。処理後,修復物辺縁の象牙質を対象としてTransversal Microradio-eraphy(TMR)によりミネラル濃度分布を評価した。その結果,フッ素徐放性歯科材料を充填した試料の高利辺縁象牙質には,各材料のフッ素徐放量に応じた再石灰化に伴う脱灰深度1dとミネラル喪失量ΔZの明らかな減少が観察され,フッ素徐放性材料は高洞辺縁の歯質保護に有効であることが示唆された。

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© 2001 一般社団法人 口腔衛生学会
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