老人保健法による歯周疾患検診を想定し,歯周ポケット保有者をCPIを用いた部分診査法で検出する有効性を検討することを研究目的とした.対象は,九州大学病院口腔ケア・予防科受診患者のうち20歯以上歯がある者とした.全顎の歯周ポケット診査結果から4mm以上の歯周ポケットを1歯以上もつ歯周ポケット保有者をCPIコードを用いて検出した場合と,全顎診査法によって検出した場合との一致率を求めた.その結果,CPI代表歯10歯の診査で個人コード3以上を歯周ポケット保有者として検出した場合,全顎診査法との一致率は97.2%であった.老人保健法による歯周疾患検診の基準と全顎診査法との一致率は88.9%であった.検査を簡略化するために臼歯部4分画のなかで第二大臼歯だけを対象とした方法では,全顎診査法との一致率が93.1%であった.また, CPI代表歯10歯の診査でCPIコード3以上の分画数と歯周ポケット4mm以上の歯数との関係を調べたところ,コード3以上の分画数が増えるに従って歯周ポケット保有歯数が増え,CPIの結果から歯周疾患の広がりの程度を示すことができた.これらのことから,CPIを用いた歯周ポケット保有者の検出は,全顎診査法との一致率が高いことが示唆された.また,実際の検診で時間的な制約がある場合には,CPIをさらに簡略化できる可能性が示唆された.