口腔衛生学会雑誌
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原著
母親の年齢および子どもの出生順位と母親の歯科保健行動との関連 : 東広島市での1歳6か月児健康診断における調査結果
笹原 妃佐子大谷 裕幸佐藤 美穂子河村 誠
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2007 年 57 巻 5 号 p. 671-678

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抄録
近年,母子に対する歯科保健活動は随所で行われており,母親が子どもを育てる過程で母親自身が教育され歯科保健行動が良好になることが予想される.また,その基盤には子どもを育てることとは無関係な歯科保健行動に対する変動要因も存在するであろう.そこで,本研究では,HU-DBI(歯科保健行動目録)を用いて1歳6か月児健診時に母親の歯科保健行動調査を実施し,母親の年齢階層(育児以外の一般的な部分での教育)および健診を受けさせた子どもの出生順位(育児段階での教育)の両者と歯科保健行動との関連を二元配置分散分析により検討した.対象の母親は,平成5〜12年度,広島県東広島市での1歳6か月児健診時に母親の歯周健診と刷掃指導も行う『親子歯科健診』事業への参加者8,896名とした.母親の年齢階層,子どもの出生順位ともにHU-DBI得点と有意な関連がみられた(両方ともp<0.01).分散分析後に多重比較を行うと,母親の年齢階層では32-36歳群(5.40)に,子どもの出生順位では第3子(5.65)にHU-DBI得点のピークがあった.このことから年齢的に口腔の健康を守っていこうとする意識や自分の口腔状態の捉え方が良好な年齢層とそうでない年齢層があること,また,第1子から第3子にかけては子どもの養育過程で母親自身が歯科保健行動の面で教育されることが示唆された.
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© 2007 一般社団法人 口腔衛生学会
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