口腔衛生学会雑誌
Online ISSN : 2189-7379
Print ISSN : 0023-2831
ISSN-L : 0023-2831
原著
歯周組織学的に健全な者における舌苔と口臭の関係
藤山 友紀村田 貴俊宮崎 秀夫花田 信弘
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 58 巻 1 号 p. 25-32

詳細
抄録

口臭を訴える方々には,歯周組織学的に健全である場合がしばしば認められる.そこで,歯周組織学的に健全な者の口気中の揮発性硫化物(以下,「VSC」という)と舌苔の関係に焦点をあて研究を行った.健康な成人6名を対象とした.機械的歯面清掃,歯口清掃指導を実施し,歯周組織の状態が改善された後,ガスクロマトグラフィにて口気中のVSC濃度を測定した.その直後,歯肉縁下のクリーニングをすべての歯に対しを行い,VSC測定を行った.引き続き,舌クリーニングを行い,再びVSC測定を行った.その後,舌クリーニング時に採取した舌苔中の細菌を,血液寒天培地上にて37℃嫌気下で培養し,グラム染色を行った.舌クリーニング後には,VSC濃度の明らかな減少が認められた(P<0.05).舌苔中の細菌数とVSC濃度との間には関係は認められなかった.また,グラム陽性桿菌とVSC濃度との間の関係はp=0.08であった.これらの結果から,歯周組織学的に健全な者に認められる口臭の主な原因は,舌苔であることが示唆された.また,歯周組織学的に健全な者に口臭が認められる場合,舌苔の細菌叢がVSC濃度に影響を与える可能性があることが示唆された.

著者関連情報
© 2008 一般社団法人 口腔衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top