口腔衛生学会雑誌
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歯周基本治療の内容別にみた歯科医業収支の比較
角舘 直樹須貝 誠森田 学
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2008 年 58 巻 3 号 p. 184-191

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抄録

北海道内3歯科医院において,歯周基本治療の内容別に,歯科医業収支を比較した.歯科衛生実地指導,スケーリング,SRPの3処置を対象とした.社会保険歯科診療報酬点数早見表を用いて医業収入を算出し,そこから医業費用を減じて各処置の収支差額を求めた.医業費用は材料費および人件費について調査を行った.収支差額とチェアタイムから,単位時間あたりの収支差額を算出して,処置別に比較した結果,単位時間あたりの収支差額は,歯科衛生実地指導,スケーリング,SRPでそれぞれ8.2〜15.0(円/分),51.1〜103.7(円/分),35.5〜49.1(円/分)であった.少ない調査施設での調査結果という限界はあるものの,歯科衛生実地指導については,他の2つの処置と同程度の結果を得るためには,その単位時間あたりの収支差額は現在の5倍程度である必要があると考えられる.また,歯科衛生実地指導において,損益分岐点を求めたところ,収支差額が0円となるチェアタイムは約41分であり,これ以上の時間を指導に費やすと歯科医業収支はマイナスになる可能性が示唆された.

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© 2008 一般社団法人 口腔衛生学会
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