口腔衛生学会雑誌
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原著
データマイニングの手法を用いた定期歯科受診者の受診中断に関わる要因の分析
杉浦 剛岸 光男相澤 文恵阿部 晶子南 健太郎稲葉 大輔佐藤 一裕米満 正美
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2011 年 61 巻 2 号 p. 225-232

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抄録

歯の喪失は定期的な機械的歯面清掃と口腔衛生指導により予防可能であることが報告されている.そこでデータマイニングの手法であるテキストマイニングおよび決定木分析を用いて定期歯科受診者の受診中断に関わる要因分析を行った.大学付属病院予防歯科外来にて定期歯科受診者106名を対象に定期歯科受診に対する感想および要望,満足度,口腔関連QOLについて質問紙調査を行った.口腔健康関連QOLの評価にはGOHAI(General Oral Health Assessment Index)を用いた.また,受診者のカルテの記載より住所,年齢,性別などを調べた.ついで1年後に受診継続している者(継続群75名)と6ヵ月以上受診を中断した者(中断群31名)に分類し,比較した結果,GOHAIの合計スコア,受診継続期間が中断群で有意に低かった(P<0.01).次に継続群と中断群について決定木分析を行ったところ,GOHAI合計点が40点以下の者(11名)は81.8%(9名)が受診を中断していた.GOHAI合計点が41点以上の者は受診を継続する傾向がみられたが,感想文中に「安心」または「気持ちよい」と記述していなかった者はほとんどが受診を中断していた.結果より口腔関連QOLが低い者は定期歯科受診を中断してしまう傾向があり,定期歯科受診に対して「安心」または「気持ちよい」と感じている者は受診を継続する傾向にあると考えられた.

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© 2011 一般社団法人 口腔衛生学会
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