口腔衛生学会雑誌
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原著
関東7都県377市区町村における3歳児dft指数 : 10年間(1998年~2008年)の時系列変化パターンと地域集積性
瀧口 徹山本 龍生青山 旬平田 幸夫
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2012 年 62 巻 3 号 p. 296-304

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抄録

関東7都県全市区町村の1998年から2008年までの3歳児dftの時系列変化パターンと地域集積性を解析した.事前処理として,平成の大合併により失われた時系列的比較対象性を市区町村の変遷情報を基に回復し,基準自治体を2006年12月31日現在の377市区町村とした.dft時系列変化の指標を平均値,中央値,最大値,最小値,標準偏差,変動係数,回帰直線の寄与率,回帰直線の傾きおよび切片の9指標とし,主成分分析により固有値>1.0の条件で3主成分(累積寄与率95.9%)を抽出した.その特性はそれぞれ,第1主成分:dftの最大値が大きく急勾配に減少,第2主成分:dftの最小値が大きく小変動,第3主成分:dftが非直線的に変動,であった.主成分ごとに地域集積性をMoranのI指標で評価し,また地理的位置関係を局所空間統計量LISAのクラスターマップで評価した.その結果,第1主成分がMoranの1=0.595 (p<0.001)の高い地域集積性を示し,首都圏のほぼ全体がコールドスポット(周囲の値の低い地域に囲まれた値の低い地域)地帯で,周囲を地域集積性が無い地帯に囲まれ,その外側をホットスポット(周囲の値の高い地域に囲まれた値の高い地域)帯がとり囲むという特徴的なパターンを示し,背景に人口動態あるいは社会経済的な要因との関連が示唆された.第2,第3主成分の地域集積性は,有意であったが地理的な特徴を示さなかった.

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© 2012 一般社団法人 口腔衛生学会
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