口腔衛生学会雑誌
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原著
早食いに関する保健指導は特定保健指導参加者の肥満を改善する
林 浩範
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2016 年 66 巻 4 号 p. 381-388

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抄録

 本研究では自治体での特定保健指導時に歯科専門職による早食いに関する保健指導を実施した場合の効果について検証した.

 香川県A地区およびB地区の住民のうち,平成21,22年度に特定健診を受診し,「動機付け支援」または「積極的支援」と判定された者で,翌年度の特定健診も受診した者のデータを用いた.対象者は各地区で特定保健指導に参加した者と参加しなかった者に分け,A地区参加者に対しては通常の保健指導に加えて早食いに対する指導を行い(早食い指導群),B地区参加者に対しては通常の保健指導のみ(標準指導群)を行った.地区ごとに,特定保健指導に参加しなかった者のうちから,それぞれの地区の参加者の年齢とBody mass index(BMI)をマッチングさせた者を抽出した(A地区非指導群・B地区非指導群).

 その結果,早食い指導群は他の3群に比べて,体重・BMIの減少量が有意に大きかった.また早食いを自覚している者で体重・BMI・腹囲変化量を評価したところ,早食い指導群で1年後の体重・BMI・腹囲は有意に減少したが,他の3群では変化が認められなかった.本研究より特定保健指導の参加者に対し,歯科専門職による早食いに関する指導を併用することは肥満の改善に有効であることが示唆された.

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© 2016 一般社団法人 口腔衛生学会
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