病院ヘルスケアスタッフである福岡県内2病院の看護職,介護職およびリハビリ職374人を対象に成人・高齢者う蝕予防対策,ならびにフッ化物利用に関する知識,意識および実施状況を調査し,それらの現状・問題点を明らかにすることを目的として質問紙調査を実施した.
回収できた321人(回収率85.8%)のデータを分析した結果,大多数が成人・高齢者のう蝕に関する知識を有していた.フッ化物配合歯磨剤の認知率は80%以上であったが,フッ化物洗口,水道水フロリデーションおよびフッ化ジアンミン銀塗布の認知率は,それぞれ41.5%,12.8%および9.4%であった.
成人・高齢者のう蝕予防対策の実施と歯科医療従事者との連携に関する意識は高かったが,実際に実施しているのは両者ともに半数弱であった.また,口腔ケア時に成人・高齢者にフッ化物を利用している者は20%未満であったが,希望者を加えると80%以上になった.
う蝕の知識・予防意識,水道水フロリデーション・フッ化ジアンミン銀の認知は,成人・高齢者のう蝕予防対策の実施やフッ化物利用の実施と関連していた.
以上より,ヘルスケアスタッフの成人・高齢者のう蝕予防,フッ化物利用および歯科医療従事者との連携をさらに普及するには,う蝕予防の知識に加え,フッ化物応用についての情報提供が優先されると考えられた.