2019 年 69 巻 4 号 p. 204-210
島根県では,40 ~60歳の残存歯数が全国平均を下回っていることがわかり,その対策が急務であった.そこで,島根県行政はこの年齢層の主たる歯の喪失原因である歯周病への対策に歯周病唾液検査を活用するため,県内における実施の可能性や歯周病スクリーニング検査としての有用性,臨床における有用性の検証,集団健診での普及啓発等について,島根県歯科医師会に検証を委託した.また,島根県行政は「島根県歯と口腔の健康づくり計画」にもこの検証実施について明記した.こうした経緯に基づき,島根県歯科医師会は島根県行政や検査機関である島根県環境保健公社と協力して,検証を平成23年から5年計画で開始した.検証の結果,東西に長い島根県で,検体受け入れ機関が県東部松江市にある島根県環境保健公社1箇所だけであったが,全県下で唾液検査の実施が可能であった.また,歯周病スクリーニング検査としての有用性,歯周病臨床での有用性も確認できた.5年計画実施後は,各種イベントでのデモンストレーション実施,公社で行われている人間ドックでのオプション実施など,歯周病唾液検査の普及啓発に努めている.