口腔衛生学会雑誌
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医療施設での看護実践におけるoral careの概念分析: Rodgersの方法による検討
工藤 理恵柴山 大賀
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2022 年 72 巻 1 号 p. 42-51

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抄録

 全身疾患と口腔状態の関連の強さから医療施設で治療を受けるすべての患者に対しoral careの看護支援は重要である.本研究は医療施設での看護実践におけるoral careの概念を明らかにすることを目的とした.データ収集はCINAHL,PubMed,Cochrane Library,医中誌Webの4つのデータベースを用いて行った.本研究の分析対象の選定基準としてタイトルと要約に「oral care」「nurse」の用語を含むこと,医療施設で治療を受ける成人患者を対象としたoral careの看護実践に関する説明が含まれていることとし,対象期間は1971年から2020年7月までとした.概念分析はRodgers(2000)の方法により,属性,先行要件,帰結について分類するコーディングシートを独自に作成し記述内容を抽出した.抽出した内容をコード化し,類似性と相違性に基づいてoral careの構成要素を明らかにして概念を規定した.

 その結果,39文献が分析対象に選定され,oral careは5つの先行要件,7つの属性,7つの帰結で構成されていた.

 属性には,口腔の観察と評価,患者教育,口腔衛生の維持,義歯のケア,口腔の保湿,記録,多職種連携の促進が抽出された.先行要件には看護師の状況や看護師への教育およびトレーニング等が含まれ,帰結には微生物感染の予防,口腔合併症の予防,生活の質の維持等の構成要素が確認された.

 本研究の結果より,医療施設での看護実践におけるoral careは,「患者の口腔の観察と評価に基づく患者教育,口腔衛生の維持,義歯のケア,口腔の保湿に関する看護支援の実施,およびこれらの支援内容の記録を通じた多職種への連携の促進を含む口腔に関する一連のケア」と規定できると考えられた.この結果は,医療施設で遭遇する多様な口腔に関する看護支援の標準化の一助となり,oral careの看護実践の促進につながると考えられた.

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© 2022 一般社団法人 口腔衛生学会
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